シンガーソングライターの川嶋あいがパーソナリティを務めるラジオ番組『明日への扉〜いのちのラジオ+〜』(ラジオ関西、毎月第1・2週日曜午後5時〜)。3月5日の放送では、漫画家の棚園正一さんがゲスト出演。漫画家を志すきっかけとなった漫画家・鳥山明との出会いや、今現在不登校に悩む子どもたちへの思いを語りました。
あることをきっかけに義務教育期間を不登校で過ごした棚園さんは13歳のときに漫画『ドラゴンボール』の作者・鳥山明に出会い、漫画家を目指すことに。自身の不登校経験を描いた漫画作品『学校へ行けない僕と9人の先生』が注目を集め、昨年には『学校へ行けなかった僕と9人の友だち』を発表し大きな反響を呼びました。現在は全国各地で不登校をテーマにした講演を開催しています。
番組冒頭、漫画家を志したきっかけについて尋ねた川嶋。幼いころから絵を描くのが好きだったという棚園さんは、大好きな漫画『ドラゴンボール』の作者・鳥山明との出会いをきっかけに「漫画家という仕事で、そういう(絵を描く)時間をずっと続けていけたらいいなという思いから漫画家を目指すようになった」という。
不登校時代、家で過ごす棚園さんのもとには家庭教師や不登校に詳しい教師などの支援者が訪れたといいます。支援者のある女性と過ごすなかで「そんなに『ドラゴンボール』が好きなら、その作者さんに会いに行こう」と、鳥山氏のもとへと連れ出されたそう。その後、女性の熱心な呼びかけのおかげで直接会うことができたうえ、自身の描いた絵を見せて「上手だね」と褒められたと当時を振り返りました。
鳥山氏と会うことができた際、棚園さんは「学校に行けなくても漫画家になれますか?」と問いかけたそう。すると、鳥山氏は「行かなくても漫画家になれるとは思うけど、学校に行っていると学園モノの話が描けるから便利だよね」と即答。当時、「学校に行って周りと同じことができないと、何者にもなれない」と負い目を感じていた少年にとっては驚きの回答であり、同時に気持ちが楽になったといいます。
その後も何度も会っていたそうで、近所のプラモデル屋の品ぞろえや話題の映画についてなど他愛もない雑談を交わしながら、時折漫画のアドバイスもくれたと笑顔とともに懐かしんだ棚園さん。「“不登校”という色メガネなしに会話をしてくれる大人が初めてで、そんな(鳥山氏との)時間が僕にとっては貴重だった」と明かし、子ども時代のこのひとときが漫画家という職業を具体的に想像するきっかけになったと語りました。
「自身にとって最も辛かった経験は?」という川嶋の質問に、「実は、辛いと思ったことはそんなにないんですよね」と前置きをしつつ「学校に行くという、周りと同じことができない負い目が辛かった」とコメント。その後、専門学校やフリースクールに通い色々な人たちに出会うなかで「こういう生き方もありなんだな」と思えるようになったと胸の内を吐露しました。
現在、全国各地で不登校をテーマとした講演を行なっている棚園さん。不登校に悩む子どもたちに伝えたいこととして、このように語りました。