女子サッカーのINAC神戸レオネッサは、3月から再開した「2022-23 Yogibo WEリーグ」で2連勝し、首位の座をキープしている。3月12日に行われたホームゲーム、第9節のノジマステラ神奈川相模原戦では2-0と勝利。3月19日に迎える前半戦最後の一戦、皇后杯覇者の日テレ・東京ヴェルディベレーザ(3位)との上位決戦に向けて弾みをつけた。
中断明けの2試合で目に見える成果を出している1人が、DF筒井梨香選手だ。セレッソ大阪堺レディース(4月からセレッソ大阪ヤンマーレディース)から期限付き移籍加入したセンターバックは、2試合連続先発フル出場し、いずれもセットプレーからヘディングシュートを記録。すぐにチームにフィットし、守備の要の1人として存在感を発揮するだけでなく、新たな得点源にもなっている。
9日のメディア公開練習後、報道陣からの取材に答えた際には、「自分のレベルがまだまだなので、もっとレベルアップして、もっともっとチームに貢献できたら」「まだまだすぎて、自信が全然持てていない。もっと自信を持てるくらいまで頑張りたい」と自戒の念を述べていた筒井選手。それでも、N相模原戦に向けて「初めてのノエスタでのホームゲームなので、無失点に抑えて、できればセットプレーから得点を取れれば」と意気込みをコメントすると、それを試合で有言実行し、チームの勝利に貢献した。
元Jリーガーでラジオ番組『カンピオーネ!レオネッサ!!』(ラジオ関西)パーソナリティーの近藤岳登は、試合前の筒井選手のコメントを聞きつつ、結果を振り返って、「もう『ノストラダムスの大予言』のよう! セットプレーからヘディングでしっかり得点とったよ! 狙っていたことが試合でできるのはすごい!」と絶賛。自らの経験を踏まえ、次のように準備を実行できることのすごさを語る。
「練習でやれたことを試合で出す、試合でこうしたいというのを体現するのは難しいもの。試合では練習でやった以上のことをやろうとしてしまうので、結局パフォーマンスがあがらず、無理して、空回りして(実力が)下がりがち。そのなかで、試合前のコメントを選手は振り返られると、地獄(のような恥ずかしさ)。『あんなことを言っていたけど、試合であまりそれを意識してやっていなかったな……』と、俺はそういうことがよく起こっていた。でも、言ったことを試合でやる、そのために今まで準備してきたというのが、今回はすごくわかった。筒井選手はセレッソから来て、初のホームゲームで、2試合連続得点。しっかりしているという言い方はおかしいかもしれないが、目的や目標が自分のなかでしっかり決まっていて、それに向かってちゃんとやれている」(近藤)
また、近藤は、試合前のINAC神戸・朴康造監督のコメントにも着目する。報道陣から、「(首位で)追われる立場としてプレッシャーがかかってくると思うが、監督自身が感じられているものは?」という質問を受けた朴監督は、「僕自身は何のプレッシャーもない。プレッシャーは、端から見たらあると思うが、僕はもう一戦一戦(に集中する)。ベレーザであろうが、浦和(三菱重工浦和レッズレディース)であろうが、僕は(試合は)見ますが、結果は気にしていない。自分たちが勝点3を積み重ねていった先に、最終どうなるかというところ」「(リーグ戦無敗のプレッシャーも)僕以外の方が考えること。僕は僕のことに集中したい」と、きっぱりコメント。目の前の一戦に集中する思いを述べていた。
この話を受けて、近藤は、「カンジョさんは、『僕がやれることは、一戦一戦、次に戦う相手に向けての、INACとしての戦い方を積み重ねていく』ということを言っている」と、ヴィッセル神戸時代から親交の深い先輩の思いを代弁。「カンジョさんは、ゼロか100かみたいに、言うことがはっきりしているし、そこが選手に伝わりやすいんだろうなと思う」と、今シーズンから指揮官として歩みを進める朴監督のよさを語った。
『カンピオーネ!レオネッサ!!』パーソナリティーの近藤岳登(右)が、ラジオ関西『登紀子とYaeの地球に乾杯!』のパーソナリティーを務める歌手の加藤登紀子(中央)、歌手のYae(左)と対面。近藤の父・智美さんが加藤登紀子の大ファンということもあって、近藤は感慨ひとしおの様子だった。(写真:ラジオ関西『カンピオーネ!レオネッサ!!』)