浄土真宗を開いた親鸞聖人。2023年は生誕850年にあたる。生誕の地京都で、その生涯を名宝でたどる史上最大の特別展「親鸞ー生涯と名宝」が、京都国立博物館で開かれている。2023年5月21日(日)まで。
1173年、京都で生まれた親鸞は、1181年、9歳の時に出家して比叡山で修行に励むが、29歳で山を下り、法然上人の弟子になった。「すべての人が等しく救われる」という阿弥陀仏の教えに出会い、「南無阿弥陀仏」と唱えるだけで浄土に行くことができるという教えを広めるが、この考えをよく思わない人たちから批判を受け、罪人として越後へ送られた。その後、罪は許され、関東で教えを広めたのち、京都へ戻った。
親鸞は阿弥陀仏の救済を人々に伝えるために晩年まで執筆に励んだ。90年に渡る生涯とその教えは、今も多くの人を魅了する。特別展では、自筆の手紙や彫像、絵巻など浄土真宗各派の寺院が所蔵するゆかりの品、国宝11件や重要文化財75件を含む181件を一堂に展示する。
中でも注目は、多くの経典と注訳書から重要な部分を集めて分類し、自身の信仰を体系化した主著「教行信証(正式名称・顕浄土真実教行証文類)」で、現存する唯一の自筆本とされる「坂東本」と、「西本願寺本」そして「高田本」が、初めて並べて展示されている。
「坂東本」は親鸞が60歳ごろまでに書かれたとされるが、80歳代になってからと考えられる加筆や訂正も見られる。長きにわたって推敲を重ねていたことがうかがえる。
国立博物館の上杉智英研究員によると「『高田本』は親鸞が存命のうちに書き写されたものとされ、『西本願寺本』は「いわば清書のようなもの」で、「見比べることによって、教えの深さや、親鸞の没後、どのように伝えられていくのか見ることができる」と話す。
親鸞が誕生して850年。京都国立博物館の松本伸之館長は「守っていくべき歴史上の人物で、850年という節目に改めて教えを振り返る意義がある」とする。
親鸞聖人生誕850年特別展
「親鸞―生涯と名宝」
2023年3月25日(土)~5月21日(日)
京都国立博物館 平成知新館 (京都市東山区茶屋町527)
休館日 月曜日