近年、小中学生をはじめ、子どもの起業家が目立ち始めているなか、いま注目の1人が、10日放送のラジオ番組にゲスト出演。起業家になったきっかけや、これからの未来にかける思いなどを語った。
小学生起業家として活動しているのは、荻野ふじ子さん。ファッションが好きな11歳の女の子は、あるとき、ふと「街に大量にあふれている服は、どこから来ているんだろう？」「売れ残った服は、どこに行っちゃうの？」と疑問を持ったのだそう。その疑問をきっかけに調べるうち、環境問題をはじめ社会が様々な課題を抱えていることを知って、「このままだと、私たちがこれから生きる未来は良い未来にならないのでは」と感じ、何かできることはないかと模索しているうちに着目したのが、“古着”だった。「古着なら1着の服がいろんな人の手に渡って循環できる。古着を循環させるシステムを作りたい」と起業に至り、いまは「古着が循環できるようなアプリ」の制作に励んでいる。
「（アプリユーザーが）着られなくなった服を出品して、その服を欲しい人へ渡すという仕組みです。楽しく、かっこよく、地球にも優しいアプリを考案して、開発に取り掛かっているところです」（荻野さん）
その荻野さんは、今年の3月、小中学生による社会課題解決のプレゼン大会『スタートアップJr.アワード2022』（後援：文部科学省、東京都、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会）決勝大会に出場。「子供が運営する古着循環プラットフォームで地球を守る〜子供一人ひとりが楽しくかっこよく環境問題の解決に取り組めるソーシャルイノベーション〜」をテーマにプレゼンテーションを披露し、小学生の部で優秀賞に選ばれた実績も持つ。
現在、アパレル業界では大量生産・大量消費、廃棄物による環境汚染・労働環境問題など様々な問題が指摘されているが、荻野さんは特に服の生産・廃棄にかかる「資源の多さ」に疑問を投げかける。
「木綿のシャツを1着作るのに、約2650リットルの水が必要になるというのです。この量は、1人の人間が1日8杯の水を飲んだとして、3年半飲める量に相当します。これは素材が木綿だからということもありますが、他にも染色に水を使いますし、廃棄する服にも大量の水が使われているなど、いろんな問題がまだまだある状態です」（荻野さん）
そして、行動を起こした原点には、これから生きていく未来だけではなく、後世への切実な思いもあると語る。
「社会問題や環境問題がそのまま続くと、私の世代の子どもたちが大人になったとき、その影響を受けるので、自分たちが生きる未来が悪くなってしまうかもしれない。それを想像すると怖いし、どうにかしないといけないなと。（アパレルに限らず）様々な社会問題があるなか、私は服に関する問題に取り組みたいと考えました」（荻野さん）
ファッション業界も、限りある資源を見据えて、大量生産・大量消費の時代からの転換が叫ばれる昨今。ただし、「ファストファッションが一切ダメ、大量生産の服は買っちゃダメ、というのは、すぐには無理だと思います」と現状を理解する荻野さんは、「一人ひとりができる範囲で気を付けるだけでも良くなるんじゃないかと思います。世界中の皆が気を付けたら少しは良くなると思うので、少しでも皆に（問題について）気付いてもらって、楽しく改善してもらえたらうれしいですね」と、楽しみながら環境のこと、未来のことを考える重要性を訴えた。
最後に荻野さんは、現在取り組んでいる古着の循環アプリについて「アプリにはマッチング機能も搭載して、ユーザーが好きな服の系統をAIが選んぶような、飽きないような工夫もしています。自分たちで選んで、手に入れる楽しさも感じられるようなアプリにしたいです」とコメント。さらに大人たちに向けて「このアプリを通して世界中の人たちに古着というファッションの魅力やファッションにまつわる社会問題を伝えていきたいので、子どもがそういうことに興味を持ったら一緒に調べたりしてほしいです」と呼びかけていた。
※ラジオ関西『としちゃん・大貴のええやんカー！やってみよう！！』2023年4月10日放送回より。
