1987年にオープンしてから、市民らに親しまれた神戸市立須磨海浜水族園(愛称:スマスイ)が、リニューアル工事のために31日午後7時、閉園しました。営業最終日には多くの人が訪れ、スマスイとの別れを惜しみました。
最終日は、「笑顔と感謝のスマスイラストデー」。特徴的な三角屋根の下には、午前9時のオープンを待たず、小雨が降るなか約150人が列を作りました。昼頃からは青空が広がり、学校や仕事を終えた人たちの姿も目立ちました。西宮市から来た女性(24)は、「市外に住んでいるが、スマスイには幼稚園の頃から10回以上来ている。何度来ても水槽(波の大水槽)は見ごたえがあり、新しくなっても必ず来たい」と話していました。
午後には閉園セレモニーがおこなわれ、近くの学校の児童・生徒らが演奏やダンスを披露したほか、関係者らによるトークショーも催されました。勤続35年を迎えたベテランスタッフの平川雄治さんは、「高校を卒業してからずっとスマスイで、まさに人生そのもの。寂しさもあるが、これからも魚たちが住みやすい環境をつくっていきたい」と話しました。また、平川さんは、印象に残った出来事の一つに「阪神・淡路大震災」を挙げ、「電気が止まって、どんどん水が濁ってきていたのを思い出す。職員が一丸となって復旧に向けて取り組み、3か月後に営業を再開できた時は本当にうれしかった」と振り返りました。
また、園の総支配人・中垣内浩さんは、「平日にも関わらずたくさんのお客さんに来ていただき、『ありがとう』という言葉を直接かけてもらった。世代を超えて愛された、地域に根差した水族園だった」と感慨深げに話しました。
須磨海浜公園一帯では現在、再整備事業が行われていて、35年の歴史に幕を下ろしたスマスイは約1年の工事を経て、2024年6月に、「神戸須磨シーワールド」としてのグランドオープンを予定。周辺にはリゾートホテルやカフェなどが整備され、西日本で唯一となる「シャチ」の展示施設が設けられることになっています。