サッカーの女子国内プロリーグ「WEリーグ」で2022-23シーズンの2位が確定したINAC神戸レオネッサ。チームを初めて指揮した元Jリーガー監督の今後の去就が注目されている。この件について、なでしこジャパン(日本女子代表)OGが、5日放送のラジオ番組で、女子チームの監督業の難しさなどを交えながら今の思いを語った。
今シーズン、初めての監督業に挑んだ、元Jリーガーの朴康造氏。ヴィッセル神戸で長らく活躍してきた右サイドのスペシャリストは、昨夏からWEリーグ初代女王を成し遂げたチームを引き継いだ。WEリーグ2連覇がノルマと開幕前から言い続けてきた指揮官は、なでしこジャパンメンバーをはじめとする個性派ぞろいの選手たちをまとめ、皇后杯では準優勝、リーグ戦では最終戦を残して13勝4分け2敗(第21節終了時点)という数字を残す。しかし、16勝1分け2敗と好成績を残した浦和レッズレディースの後塵を拝し、4日には浦和LにWEリーグ初優勝を決められ、連覇はならず。5日のジェフユナイテッド千葉レディース戦の勝利で2位は確定したものの、目標を達成することはかなわなかった。
それでも、今シーズン最後のINAC神戸ホームゲーム、5月28日に行われた第20節日テレ・東京ヴェルディベレーザ戦後のファイナルセレモニーのスピーチで、INAC神戸の安本卓史社長は朴監督への続投要請を出した。しかし、試合後の会見で朴監督は、「私は社長がこうやって公にされたので……」と前置きしたうえで、「優勝したらもう一度来年一緒にやりたい、優勝できなかったら責任を取って辞めるという覚悟をずっと社長にも言っていましたし、今もそれは変わらない気持ちでいるので。優勝しないと、優勝できないと、私は責任を取りたいと思います」と、きっぱりと自らの思いを述べていた。
WEリーグやINAC神戸の戦いを見つめ続ける、なでしこジャパンOGの川上直子氏は、自身がパーソナリティーを務めるラジオ番組で朴監督の去就について触れ、「朴康造監督はプロのチームを指揮するのは初めてで、ホーム最終戦でも『手探りでいろんなことをやった』と言っていたが、来シーズンも(監督を)やったら、また違う選手采配をしたりすると思う。連覇を逃したら自分は責任をとって辞めると開幕前から言っていたので、本人としては責任をとりたいという話しだが、責任の取り方として、ここで投げ出すのではなく、もう1年やるというのも、責任の取り方かもしれない」と持論を展開。
ただし、女子サッカーをよく知るがゆえに、「女の子の監督をするのはたぶん難しかったと思う。みんな我が強いし(苦笑)、気を遣いながら言葉かけ1つでもどうやって伝えようか考えたり……。正直、疲れたのかもしれない」と、新人指揮官をおもんぱかる様子もみられた。
それでも、「シーズンが終わったら選手の入れ替わりなどもあると思うが、新しい選手がきて、もっと選手層の厚さが増したら、(継続して)監督をやるのも面白くなるのでは。オフもあるので、そこでリフレッシュして、来シーズンも(監督を)やって(INAC神戸の指揮官として)タイトルを奪還してほしいなと思う」と、オンエアを通じて朴監督を激励していた。
なお、東京NB戦後の記者会見で、朴監督はヴィッセル時代から慣れ親しんだホーム・ノエビアスタジアム神戸での指揮について、「やはりノエスタは僕のなかでは特別なスタジアム。チームは違えど、このスタジアムで戦えたことは本当にうれしかった。サポーターの声援が後押しして、いい形で、全体の成績は悪くなかったと思いますし、ここで戦えたのは誇りです。また……まだまだ続けていけたらいいなと思いますね」と、感想をコメント。まだ優勝チームが決まっていないなかでの発言だったが、続投か、退任か、去就が注目される。
INAC神戸はリーグ最終節となる第22節、6月10日の午後2時から、長野Uスタジアムで、AC長野パルセイロ・レディースと対戦する。
※ラジオ関西『カンピオーネ!レオネッサ!!』2023年6月5日放送回より