映画の好みや楽しみ方は人それぞれ。このコラムでは、元映画館スタッフで映画企画屋の宮本裕也さんが、独自の視点から映画の“観かた”を紹介します。今回は、6月23日に公開される「クマのプーさん」実写版ホラーを、著作権の観点から解説します。
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A・A・ミルンの児童小説をモチーフにした『プー あくまのくまさん』が、6月23日(金)より全国の映画館でロードショーされる。
“プー”と聞けば、のほほんとしたルックスの世界一有名な「クマさん」を多くの人が思い浮かべるだろう。ポスタービジュアルからもその雰囲気はなんとなく見てとれる……が、本作はアクション・ホラー。しかも今回は実写なのだ。
楽しかった幼き日々は過ぎ去り、青年となったクリストファー・ロビン。彼は大学進学のためプーとピグレットを森に残し、新たな大人への一歩を踏み出すことにした。そして時は経ち、婚約者のメアリーと共に100エーカーの森に戻ってきたロビン。しかしそこにいたのは血に飢え、野生化したプーとピグレットの姿だった。
ここまで読んで、言葉を失った人はもう一度深呼吸を。この作品は間違いなく児童小説『プー』をモチーフにした実写版。だがしかし、ひたすら愛らしかった彼らがなぜこんな姿に?
その秘密は「パブリックドメイン」にあった。アニメや漫画のキャラクターには「著作権」があることを知っている人は多いだろう。この著作権の期限が切れ、権利所有者が存在しなくなったものをパブリックドメインという。期限が切れると、キャラを自由に扱うことができるようになるのだ。
日本と海外では制作物によって権利元が違うため、全てが本作のようにはうまくいかないが、『プー』はまさにその権利切れのタイミングを見計らい制作されたという。制作から上映までの流れを本作の宣伝担当者に聞くことができた。
ーー『プー あくまのくまさん』はどういった経緯で制作されたのですか?
【宣伝担当者】A・A・ミルンの児童小説がパブリックドメインになり、すぐに本作監督のリース・フレイク=ウォーターフィールド氏とプロデューサーがホラー映画を作るために動いたそうです。