《安倍元首相銃撃事件1年》旧統一教会・読めぬ”解散命令請求”、被害者救済法は「有名無実」か? | ラジトピ ラジオ関西トピックス

《安倍元首相銃撃事件1年》旧統一教会・読めぬ”解散命令請求”、被害者救済法は「有名無実」か?

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 7月8日、安倍晋三元首相銃撃事件から1年。

 首相経験者が街頭演説中という、白昼の衆人環視の中で射殺された事件は、世間を震撼させた。

銃撃現場・近鉄大和西大寺駅前には多くの人が献花に訪れた<2022年7月11日撮影>
年代を問わず悼む元首相の死 発生直後に取り押さえられた男の犯行動機は衝撃的だった

 この事件を機に、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐるさまざまな問題が浮上した。銃撃した男の実母は統一教会の熱心な信者で、旧統一教会に1億円以上の献金をして自己破産したという。
 生活設計が大きく崩れ、大学進学をあきらめ、定職に就くこともままならない日々を送ったとされる男は、家庭が困窮した原因となった旧統一教会を恨み、「(教会と)つながりがあると思った」という安倍元首相に矛先を向けた。
 男はその根拠として、 「(教会を韓国から)招き入れたのは岸信介元首相。だから(孫の)安倍元首相を殺した」などと供述しているという。

三笠霊園・慰霊碑の脇に安倍元首相の遺影が掲げられ、全国各地から多くの人が献花に訪れている<2023年7月7日午前 奈良市川上町>

 宗教法人法では、民法の不法行為を含み、明らかに著しく公共の福祉を害すると認められる行為などが確認できれば、裁判所に法人の「解散命令」を請求できると規定されている。これらに該当する疑いがある時、所轄する文化庁(都道府県の場合も)が行使する「質問権」によって、組織運営に関する資料や報告を求めることができる。宗教法人格がなくなると、税制上の優遇などはなくなるが、宗教団体としての活動は維持できる。 宗教法人への解散命令は過去にオウム真理教(東京都・1996年)と明覚寺(和歌山県・2002年)の2例のみ。

旧統一教会と政治家の関係がクローズアップされ、被害者救済法も施行されたが、「手詰まり感」は否めない

 文化庁は2022年11月、霊感商法や高額献金など、旧統一教会や信者の不法行為を認定した民事判決が、1994~2020年に22件あったことなどを根拠に、「質問権」の行使を決めた。
 これまでに文化庁は6回もの質問権を行使し、のべ500項目以上の質問を送り、2023年6月には教団から6回目の回答を得たが、裁判所へ解散命令を請求するだけの条件が整っていないとみられる。

三笠霊園に建立された慰霊碑は「留魂碑」と名付けられ、安倍元首相が生前に書き記した「不動心」という文字が刻まれた<2023年7月7日午前 奈良市川上町>

 教団をめぐる問題に対処するため、被害者救済法が2022年末、参議院本会議で可決、成立した(2023年1月5日施行)。 宗教団体などの法人が、「霊感」で不安をあおるなど不当な寄付勧誘を規制することが主な目的だ。

 果たして救済法に実効性はあるのか。本当に被害者を救うことができるのか、反社会的勢力対策に詳しい藤本尚道弁護士に聞いた。

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