皆さんは、スーツの下に着るシャツのことを何と呼んでいるでしょうか。 関東を中心に「ワイシャツ」という呼び方が浸透していますが、関西は「カッターシャツ」という方が馴染みがあるかもしれません。
では、カッターとはどういう意味なのでしょうか? 筆者的には、文房具のカッターナイフをイメージしてしまいます。そこで、この名称を生み出したというスポーツ用品メーカー『ミズノ株式会社』(本社:大阪市住之江区)に話を聞いてみました!
「カッターシャツ」という名称は、 1918 年に同社の創業者である水野利八氏が命名しました。ミズノ株式会社の前身・水野兄弟商会は1906年(明治39)に創業、兄である利八氏とその弟が作った会社で、当時は洋品雑貨や野球ボールなどを扱っていました。
野球シューズやグラブなどを製造し「関西学生連合野球大会」を開催するなど、とにかく野球に縁が深かった同社。カッターシャツという名称が生まれたのも、野球がきっかけだったのだとか。
「カラー(襟)とカフス(袖)が縫い付けられた長袖のシャツを販売しようと考えていた利八が 、 大好きな野球観戦をしていた際に生まれたアイデアです。贔屓チームの勝利に喜ぶ人々が口々に叫ぶ『勝ったー!』から“カッター”シャツ と名付けました」(ミズノ株式会社)
縁起が良いうえに覚えやすいキャッチーな商品名は、当時の学生たちの間で評判になったそうです。それをきっかけに、同社の所在地である大阪を中心に「スーツを着用する際に着るシャツ=カッターシャツ」として浸透していったのです。
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現在、同社の商品名として「カッターシャツ」は使用されていないそう。しかし、商品名という枠を越え「カッターシャツ」は関西弁のひとつとしてすっかり定着しました。アイデアマンとして知られる利八氏は、カッターシャツと同時期に「ボストンバッグ」や「ポロシャツ」といった有名な商品名も生み出したと伝えられています。
身近なアイテムのネーミングを探ってみると、意外な歴史が知れるかもしれません。
(取材・文=つちだ四郎)
◆ミズノ株式会社
559-8510 大阪府大阪市住之江区南港北1-12-35
電話番号06-6614-8000
ミズノ株式会社 公式サイト
ミズノ公式オンライン