サッカー・Jリーグは後半戦に入り、7月21日からは選手の第2登録期間(ウインドー)を迎える。各クラブは新たな戦力補強を敢行すべく、選手の移籍が活発化。そのなかで注目されるのは、J1で上位争いを繰り広げるヴィッセル神戸の補強の動向だ。
サッカー界の世界的スーパースターの1人、元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ選手が、約5年過ごしたヴィッセルを退団。今シーズンはJ1でわずか4試合の出場にとどまっていたとはいえ、その存在感は絶大だっただけに、偉大な8番の抜けた影響は決して小さくない。モンテネグロ代表FWステファン・ムゴシャ選手も韓国・仁川ユナイテッドに完全移籍(復帰)したため外国籍選手の枠も空いており、新助っ人獲得も期待される。
また、好調のチームでいま、不安視されているのは、守備陣の選手層。特にセンターバックは主力にけが人が続出。3月にはDF菊池流帆選手が左ひざを傷めて全治約8か月と診断され、シーズン中の復帰は絶望的。前半戦でチームを牽引する活躍を見せていたDF山川哲史選手も5月末に右足甲(中足骨)を骨折して約3か月の戦線離脱中だ。
さらに、ブラジル人DFマテウス・トゥーレル選手は、開幕当初から足に痛みを抱えており、4月から戦線に戻って奮闘も、直近の7月7日のJ1第20節アルビレックス新潟戦では、試合途中に痛みを訴えて開始20分で交代した。その試合では控えDFが高卒ルーキーの寺阪尚悟選手のみということもあって、本職がサイドバックの酒井高徳選手がセンターバックを担当し、まさにスクランブル態勢でなんとか勝ち切ることができた。
その状況を踏まえて、ラジオ番組『GOGO!ヴィッセル神戸』(ラジオ関西)7月10日の放送では、「今夏の補強ポイント」をテーマに、リスナーからメッセージが寄せられた。
最も多かった意見は、やはり人材難にあえぐ守備のてこ入れ。「センターバックが現実的」、「トーマス・フェルマーレン選手のようなW杯出場経験のあるセンターバックの選手が加入してくれたらいいな」、「新潟戦のように(本職)センターバックが不在ということがないよう、DFは絶対に必要かと思う」と、即戦力センターバックを望む声が目立った。
一方では、「これから夏本番を迎え、大迫勇也選手や武藤嘉紀選手を交代できる選手がいないのは、優勝争いするなかで厳しくなってくると思うので、即戦力のFWもほしい」と、今シーズンの躍進を牽引する2選手の負担を軽減できるような、攻守に献身的なストライカーの補強を求めるメッセージも。そして、「イニエスタ選手がいなくなったので、世界的スターが来てほしい!」というヴィッセルサポーターの本音も届いた。
最近6年間を見ると、夏のウインドー期間に大きな補強が続いているヴィッセル。ビッグネームをはじめ、レギュラークラスの加入が目立つ。
【2017夏】ルーカス・ポドルスキ、ハーフナー・マイク
【2018夏】アンドレス・イニエスタ、大﨑玲央、古橋亨梧、長沢駿、アフメド・ヤセル
【2019夏】ジョアン・オマリ、飯倉大樹、トーマス・フェルマーレン、佐々木大樹(※)、藤本憲明、酒井高徳
【2020夏】(なし)
【2021夏】武藤嘉紀、大迫勇也、ボージャン・クルキッチ
【2022夏】飯野七聖、ステファン・ムゴシャ、小林祐希、マテウス・トゥーレル
(※)期限付き移籍からの復帰
ちなみに今シーズン開幕前の即戦力補強をみると、MF齊藤未月選手やDF本多勇喜選手はチームに不可欠な存在となり、MF井出遥也選手は前線からの守備で存在感を発揮すれば、FWジェアン・パトリッキ選手も開幕戦で決勝ゴールを決めるなど要所で活躍している。その事例を鑑みると、夏の補強にも期待が膨らむ。