松竹芸能所属のピン芸人で“事故物件住みます芸人”として活動する松原タニシが、ラジオ番組『Clip』(ラジオ関西)に出演。食が引き起こす怪談や、自身が体当たりで調査を試みた体験について語りました。
2018年に発売した代表作『事故物件怪談 恐い間取り』をはじめ、『異界探訪記 恐い旅』『死る旅』など、数々のベストセラー作品を生み出している松原。自身が実際に事故物件に住んで体験した不思議な話や、心霊スポットを訪ね歩いた旅行記など、著書は累計35万部を突破。今年6月26日には、最新刊となる『恐い食べ物』(二見書房)が発売されました。
本書には、事故物件を飛び出した松原が全国各地で出会ったという“食”にまつわる怪談や秋田・奈良・屋久島の土地に伝わる食奇譚など、バラエティ豊かな書き下ろしエピソード41篇が収録されています。本作にも、松原作品の“持ち味”である体当たり調査が多数記されています。
【春名優輝(以下、春名)】 今回は、事故物件ではなく食べ物を題材としたそうですが、またガラッと変えてきましたね。
【松原タニシ(以下、タニシ)】 ここ10年くらい、事故物件に住みながら人の生き死にに関わることを追いかけてきたんですけど、やっぱり「生きる」ということを題材にしたいと思いまして。それで、「生きる=食べ物」かなと。
【近藤夏子(以下、近藤)】 食べることは生きるために必ず必要なことですもんね。でも、これを読んだら食べられなくなったりしませんか?
【タニシ】 大丈夫です。慣れると思います(笑)。
【近藤】 慣れる(笑)!? 事故物件に住むことに慣れている人に言われても説得力ないですよ!
【春名】 本当にこわい話もありますが、どちらかというと読み終わったあと「めっちゃ勉強になるな」と思ったというか……。郷土史を読んだ感覚になりました。
【タニシ】 ありがとうございます。事故物件に住んでいるなかで、“ある土”に出会ったんです。調べていくと、作物がつくられるもととなる土は植物とか生物の死骸なんですよね。それを知って、「じゃあ地球は事故物件じゃん」「みんな事故物件に住んでるじゃん」という発見があったんです。
【近藤】 それが今回のテーマのきっかけですか?
【タニシ】 そうですね。最初の章が「土」なんですよ。ある体験をしたことで「人間はこうやって生きているんだな」ということが分かってきたというか、「人間も土になるんだな」ということが分かって。事故物件だからこそ、その「土」が手に入ったというところから話が始まるんです。