全国各地に散らばる“難読地名”。なかなか読めずに「モヤっ」とした経験がある人も多いのではないでしょうか?
関西にも、通常では想像もつかない読み方の地名が多数存在し、いずれも歴史や文化にゆかりが深いとされています。今回は、兵庫と大阪の2つの難読地名を紹介します。
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まずは兵庫県の難読地名「鵯越」。「越」はなんとなく分かりますが、問題は「鵯」。部首が“鳥”なので、鳥類の名前とは予想できますが、滅多に見ない漢字ですよね。
こちらは「ひよどりごえ」と読みます。神戸市兵庫区と北区の境にある峠を中心とした地域で、平安時代末期に起こった源氏が平家を滅ぼすことになる「治承・寿永の乱」(源平合戦)の戦いの一つ「一ノ谷の戦い」の舞台になった場所としても知られています。
天才軍略家としても知られる武将・源義経は、北側には険しい山、東には急な崖、南は海という地形のなか、精兵70騎を率いて鵯越の崖を真っ逆さまに駆け下り、一ノ谷に築かれた平家の城に攻め込むという奇襲作戦に出たといいます。この奇襲は「鵯越の逆落とし」として現在も語り継がれ、義経伝説の一つとなっています。
兵庫区役所で地域の歴史資料などを管理する高原さんによると【ヒヨドリのような小さい鳥しか飛べない狭い場所だからという説】【かつて峠のことを「ヒヨウ」「ビヨウ」と呼んだことから、この言葉が変化して「ヒショウ」「ヒヨドリ」になったという説】……などがあるといいます。また、古墳時代に活躍した顕宗天皇の息子たちがこの場所を通るとき、いつでもヒヨドリが鳴いていた、という逸話も残っているそうです。
次は大阪の地名「私市」。おそらく一発で読める人はほとんど居ないのでは? 関西屈指の“高”難読レベルです。