給食か、持参の弁当かの選択制となっている神戸市立中学校で、2024年9月から順次、すべての学校で全員給食に切り替わることが分かった。神戸市教育委員会がこのほど発表した。
全員給食実施に伴い、これまでは冷たい状態で弁当箱ごと配られていた給食が、温かいまま教室で配膳される「小学校スタイル」に変わる。市内の中学生からは「小学校みたいに温かい汁物が出たらうれしい」、保護者からも「忙しい朝に弁当作りをしなくて済むのは助かる」など、早速期待の声が上がっている。
全員給食への切り替えは区ごとに段階的に進められ、2026年1月までに市内の全82校で実施が完了する予定だ。
現在、神戸市立中学校の給食は、民間業者の施設で調理。「ランチボックス」という名称の弁当箱に1人分ずつ盛り付け、各中学校へと配送されている。給食は月単位の事前申し込み制で、市教委によると、利用率は52パーセント(2023年7月)。弁当派が約半数弱を占める。給食を利用しない理由として、多くの保護者が「子どもが冷たいおかずを敬遠する」点を挙げる。
国の衛生管理基準では、食中毒防止の観点から、配送する給食は「65度以上」もしくは「10度以下」と決められている。ごはんは65度以上で運べるが、一つの弁当箱に複数種類を詰めたおかずは、10度以下まで冷やして届けざるを得ない状況だった。
一方、共働き世代の増加に伴い、家庭から弁当を持参したいという希望は、2011年は約30パーセントだったが、2019年には約3パーセントと大幅減。子どもたちからも温かい給食を希望する声が高まっていたという。それらのニーズに応える形で、市は2021年9月、全員給食移行の基本方針を策定、計画を進めてきた。
新たに中学校の給食調理に特化した給食センターを垂水区と西区に設置。民間施設や一部の小学校調理室と組み合わせて、約3万7000食の調理を行うとともに、配送中の温度をキープするため、保温性の高い「保温食缶」を活用する。安全で栄養バランスの取れた給食を目指し、市教委が献立を作成、食物アレルギー対応として、希望者には卵除去食を提供する。
現在、1食170円(340円を市が半額助成)の給食費の今後の額については、決まっていないという。長田淳教育長は「食材の高騰はあるが、保護者に費用を追加負担してもらうのは避けたい。本来的には給食費は国が負担すべきものと思う」と述べた。
各区の切り替えスケジュールは以下の通り。( )内は学校数。
2024年度2学期 中央区(7)、須磨区(3)
2024年度3学期 須磨区(8)、垂水区(11)
2025年度1学期 長田区(6)、西区(13)
2025年度3学期 東灘区(7)、灘区(5)、兵庫区(5)、北区(16)
※全員給食を先行実施している神戸市立義務教育学校八多学園(北区)は上記に含まれていない。