お笑いや粉もんグルメ、舞台や伝統芸能などさまざまな文化が生まれ発展した街・大阪は、「水の都」「水都」と呼ばれていることをご存知でしょうか。
しかしながら、一般的に“水の都”と聞くと、イタリアのヴェネツィアやスウェーデンのストックホルムなど、水上に築かれた都市や海・川に囲まれた都市などを想像しますよね? 大阪にも川や湾はありますが、水の都というほどではないような……。そこで『水都大阪コンソーシアム』(所在地:大阪市住之江区)の長田さんに話を聞いてみました。
大阪が「水の都」と呼ばれる理由はいくつかあるそうですが、そのうちのひとつが地形です。大阪市の中心部には堂島川・土佐堀川・木津川・道頓堀川・東横堀川といった川が、カタカナの「ロ」の字型で都市を囲っています。これは「水の回廊」とも呼ばれる地形で、世界的にもかなり珍しいものなのだとか。
かつて大阪の中心部をめぐっていた多くの水路のおかげで、街はどんどん栄えていきます。「江戸時代、中之島には藩の蔵屋敷が建ち並んでいたこともあり、水路は多くの船で賑わっていたといいます。さらに、江戸時代の大阪では『なにわ八百八橋』と呼ばれるほど、多くの橋がかけられていました。当時『天下の台所』と呼ばれた大阪は、水路のおかげもあり全国の物流の中心として栄え、日本の経済や文化をけん引してきました」と長田さんは語ります。水運の恩恵は、物資や人を運ぶだけではありませんでした。大阪の庶民の生活にも深く根ざし、船上での花見や夕涼みなど、水辺とともに季節を楽しむ習慣があったそうです。
残念ながら、当時の大阪を支えた水路のほとんどは埋められてしまいました。ですが、都島・中之島・堂島・淀屋橋・肥後橋・心斎橋など、大阪に「島」や「橋」がつく地名が多く残っていることからも大阪が水の都であったことがうかがえます。
ところで、令和の大阪で「水の都」を感じられるようなスポットといえばどこなのでしょうか? 長田さんいわく、遊覧船に乗ってみるとよくわかるといいます。
「まず、ランドマークの“グリコ看板”がある道頓堀川沿いは大阪を象徴する景色です。さらに、天満橋から下流側の西を眺めると、大川が土佐堀川と堂島川に分かれて、中之島公園の向こうに高層ビル群を見ることができます。こちらは道頓堀とは一味違った大阪の風景。うつくしい夕景や夜景が魅力ですね」(長田さん)
水上から大阪の名所を眺めることで、大阪が水の都と呼ばれていることが実感できるとのことでした。