恐竜や大型哺乳類などすでに絶滅した動物は、その化石を発見した人がいるからその姿が復元され研究も進む。化石を発掘し研究する「化石ハンター」をテーマに、知的冒険の旅を体感できる特別展「化石ハンター展~ゴビ砂漠の恐竜とヒマラヤの超大型獣~」が、大阪南港ATCギャラリー(大阪市住之江区)で開催されている。2023年9月24日(日)まで。
この特別展の主役は、ロイ・チャップマン・アンドリュースをはじめとする化石ハンターたち。アンドリュースは、アメリカ自然史博物館で鯨類研究の専門家としてキャリアを積み、1909年には研究のため日本を訪れている。恩師の古生物学者との出会いを通じて「人類を含む哺乳類誕生の起源はアジアにある」という説を証明しようとゴビ砂漠へ。当時のゴビ砂漠はサイ類の歯の化石1つしか見つかっておらず、不毛の荒野と言われていた。機動力のある自動車隊とラクダからなる「探検隊」は、1922年からの9年間で5回にわたる調査を行い、原始的な角竜類プシッタコサウルスや「角のない」角竜類のプロトケラトプス、獣脚類のベロキラプトルなど様々な恐竜の化石を発見した。また調査隊は恐竜の卵化石も発見し、恐竜は卵を産んでいたという確信につながった。このような素晴らしい成果を挙げたアンドリュースの名は、歴史的な化石ハンターとして歴史に名を残すことになった。
会場には、アンドリュース隊が発見した恐竜の化石や、当時のエピソードを紹介するパネルが展示され、彼らの偉業をたどることができる。
アンドリュースの探検からしばらくすると、各国の調査隊がゴビ砂漠に向かい、1993年からは日本の調査隊も足を踏み入れた。1996年には日本・モンゴル隊がオビラプトル類の頭から首にかけての骨を発見した。他のオブラプトル類とはトサカや前上顎骨などが異なっていたことから、その後新属新種と確認され、ネメグトマイヤと命名された。この化石を発見したのは、調査の最終日で、当時大学院生だった小林快次・北海道大学総合博物館教授だった。
様々な恐竜化石を発見したアンドリュースだが、「アジアが哺乳類進化のゆりかごであった」という説を証明するため、大小様々な哺乳類の化石も発掘した。会場では陸上にすむ哺乳類としては最大の肉食獣アンドリューサルクスや、長い下顎の先に四角いシャベルのような前歯を持つプラティベロドンなどの化石も見ることができる。