先日、運動不足を解消するために久しぶりに自宅で腕立て伏せをした筆者。その2日後の朝、大胸筋にかなりきつめの“筋肉痛”がやってきました。「年を取ると筋肉痛が遅れてやってくる」とよく耳にするし、実際に経験をしたという人も多いのでは?
ですが、よく調べてみると「年齢と筋肉痛の遅れに因果関係はあまりない」そうなのです。どういうことなのかスポーツ医学について詳しいさかいクリニックグループ(東京都北区)院長代行・宗村大義さんに聞きました。
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まずは、筋肉痛が起きるメカニズムについて。宗村さんは「筋肉痛は“損傷と修復のバランス関係によって痛みの出るタイミングが決まってくる”という説が有力です」と言います。
「筋トレや運動をすると筋繊維が損傷します。その傷を修復しようとする際に痛みを起こす物質が体内で生産され、痛みを感じると言われています。そして、損傷した筋繊維が修復されたことで筋繊維が強く太くなり筋肉が大きくなるという仕組みになっています」(宗村さん)
“年齢は関係無い”という筋肉痛の遅れについて、早いのと遅いのとでは何が違うのでしょうか。
「筋肉痛のメカニズムはまだ解明されていないことも多く年齢との因果関係も諸説ありますが、筋肉痛の遅れは“運動強度”と“修復スピード”が関係しています」(宗村さん)
「筋肉を早く・強く動かすと大きな負荷がかかるので、筋肉の損傷範囲が広くなり修復するスピードが追いつかなくなります。この場合、筋肉痛が早く出やすい傾向になります。たとえば水泳やウォーキングなどの運動は筋肉をゆっくり持続的に動かすので損傷範囲が狭くなり、修復するスピードが上回ります。このため筋肉痛が遅く出る傾向があります」(宗村さん)
筋肉痛の遅れが“年齢と関係している”と勘違いされやすい理由については、若者が強度の高い運動をする傾向にある一方で、年配者は同じ運動をするにも意図的にセーブをしたり緩やかな運動をしたりする傾向にあるためとのこと。なので、若者が強度の低い運動をすれば、その分、遅れて筋肉痛はやってきて、年配者が強度の高い運動をすれば早く筋肉痛はやってくる、ということになります。