大阪・関西万博(2025年4月13日〜10月13日 184日間) に参加を表明している153か国・地域のうち、約50か国・地域が自費でパビリオンを建設する方式「タイプA」を(56を予定)しているが、資材価格や人件費の高騰で、準備の遅れが懸念されている。
こうした中、大阪・関西万博を運営する日本国際博覧会協会が9月1日、大阪市内で会見を開き、石毛博行事務総長が「タイプA」に該当する13か国について、施工業者が決定したと明らかにした。また、日本側(博覧会協会)が建設を代行する方式「タイプX」への移行には、5か国が関心を示したという。
海外パビリオンをめぐっては、▼敷地を渡して独自のパビリオンを建設する「タイプA」、▼日本側が建設したパビリオンを参加国に引き渡し、独自にデザインする「タイプB」、▼建設したパビリオンの一区画を借り受け、複数の国が入る「タイプC」がある。
「タイプA」は、自分でパビリオンを建築するため「タイプB」や「タイプC」に比べ、独自性を大きく打ち出せる半面、費用の負担も大きく、建設も長期間にわたることが予想される。
このうち、カナダは自国でパーツを作って日本に運び、2024年3月に着工する(会場で組み立てる)などのケースもある。
そこで博覧会協会は、建設準備の遅れを解消するために、「タイプA」の参加国に「タイプX」という方式を提案し、8月末を回答期限に意向を確認していた。
「タイプX」は、組み立て式の箱形の建物を博覧会協会が建設して参加国に引き渡し、参加国が内装や外装のデザインを決める方式。建設費用は参加国が負担する。
石毛事務総長は「(5か国は)十分ではない。今後(約2週間をひとつのめどに)精力的に進めていきたい。段階的にアプローチを続ける」と述べた。 今後、「タイプX」への移行を検討する国は増加する可能性もある。「タイプX」はドバイ万博や愛知万博でも一部で採用されている。
なお、海外パビリオン以外のハード面については、民間企業・団体のパビリオンや、8人のプロデューサーが主導する「シグネチャーパビリオン」、大催事場、迎賓館、シンボルとなる「リング(大屋根)」の準備、組み立てが順調に進んでいる。
岸田文雄首相は8月31日の関係閣僚会議で、海外パビリオン建設着工の遅れなどを踏まえ、「楽観できる状況にない。胸突き八丁」と述べ、自ら先頭に立つ姿勢を示した。
そして資材価格や人件費高騰で上振れが懸念される建設費1850億円について、改めて精査するよう指示したという。2020年に1250億円を見込んでいたが、1.5倍の増加となった。その後も、資材価格高騰は想定を上回っている。
これらを受け、石毛事務総長は「準備作業の迅速化は必至。万博は国家事業であり、博覧会協会は実行者。現実を直視したい」と気を引き締めた。