2023年10月21日、近代的なプラネタリウムが誕生して100年となります。これを記念して、各地で様々な催しが予定されています。
「プラネタリウム」という言葉は、ラテン語の「planeta(惑星)」と場所などを意味する「-arium」からなる造語です。ドーム状のスクリーンに星を映し出しその動きを再現する近代的なプラネタリウムは、ドイツで誕生しました。世界最大の理工系博物館と言われるドイツ博物館は、「地上に星空を展示したい」と、ドイツ・イエナにあった光学機器メーカー・カールツァイス社にプラネタリウムの制作を依頼。第一次世界大戦による制作中断があったものの、1923年10月21日、関係者限定で、プラネタリウム1号機による試験公開が行われました。10メートルのドームに映し出された星空は人々を魅了し、「イエナの驚異」と絶賛されました。そして1925年5月7日、ドイツ博物館にプラネタリウムが常設され、一般公開されました。
この1号機となった「カールツァイスⅠ型」は、500Wの電球を使い、6等までの4500個の星をドームに映し出しました。
その後1000Wの電球を使い、8900個の星を映し出す鉄アレイのような形をした「カールツァイスⅡ型」に改良され、世界に広まりました。26台が製作され、日本では、1937年に大阪市立電気科学館に初めて導入され、1989年まで稼働していました。現在、日本天文遺産に認定されており、大阪市立科学館で展示されています。
さて、兵庫県には、「ベテラン」と「最新」のプラネタリウムがあります。
ベテランは、明石市立天文科学館のカールツァイス・イエナ社(当時東ドイツ)製の「Universal 23/3(UPP23/3)」で、カールツァイスⅣ型の発展型ともいえるものです。1960年6月10日、明石市立天文科学館の開館と同時に導入され、現在も稼働しているものでは日本で最も古いプラネタリウムです。
明石市立天文科学館のHPによると、数百枚のレンズ、200枚近くの歯車、90個のランプを組み込んだ、光学、電気工学、精密機械工学の粋を結集したもので、9000個の恒星と太陽、月、5つの惑星、天の川、彗星、変光星、人工衛星などが投影できます。