大阪・関西万博(2025年4月13日~10月13日 184日間)で、映画監督の河瀨直美氏がプロデュースするパビリオン『いのちのあかし』の建設に、廃校となった京都府と奈良県の木造校舎計3棟を活用する。
河瀨氏は、大阪・関西万博テーマ事業プロデューサー8人のうちの1人。ロボット学者で大阪大大学院教授の石黒浩氏、音楽家で数学研究者の中島さち子氏、放送作家の小山薫堂氏らとともに、8人それぞれがテーマ館をプロデュースする。
解体、移設されるのは京都府福知山市立細見小学校中出分校の1棟と奈良県十津川村立折立(おりたち)中学校の2棟。
このうち、京都市福知山市で14日、「大阪・関西万博 テーマ事業河瀨館『いのちのあかし』 福知山市旧細見小学校中出分校 校舎出発セレモニー」が開催された。
中出分校は1930(昭和5)年に建てられ、2002(平成14)年に本校に統合されたため閉鎖された。
このパビリオンは「対話シアター」と「森の集会所」で構成される。シアターでは、初めて出会う世界中の人とスクリーン越しに”⼀期⼀会の”対話ができる。この対話を通じて、異なる国境や⼈種や宗教や⽂化や⾵習など、お互いの違いとその分断を超える空間をつくる。集会所では、木々に囲まれながら「対話シアター」で⽣まれた対話の記録や、建築が移築される際の映像などを見ることができる。
過去の記憶を未来へ継承する移築だが、万博閉幕後の活用については今後検討するという。
セレモニーでは、卒業生や元教師ら地元関係者を前に、大橋一夫・福知山市長や河瀨氏らがあいさつ。
大阪・関西万博公式キャラクターの「ミャクミャク」が見守るなか、中出分校の通学区域に住む子どもたちから、感謝と期待を込めた校舎の「卒業証書」が河瀨氏に手渡された。
そして、河瀨氏から子どもたちへのサプライズプレゼントとして、長年校舎とともに小学生を見守ってきた校舎前のイチョウの葉があしらわれたメッセージカードが贈られた。
セレモニーパネルには、参加者がそれぞれの思いを込めた「お別れメッセージ」を記入。パビリオンに生まれ変わる中出分校に向けて「あたたかな想い出をありがとう」「たくさんの人々に見てもらって下さい」などのメッセージが書き込まれた。
最後に、メッセージ入りのパネル、校舎とイチョウの木とともに記念撮影。地域の人々の思いや校舎の記憶を河瀨氏が受け取り、多くの優しい笑顔に包まれた校舎出発セレモニーとなった。