朝起きて顔を洗い、朝ごはんを食べて、歯をみがいて……。ライフスタイルや年齢、性別など、人によって異なるさまざまなルーティン。そんな毎朝の習慣のひとつに「洗面台で髪を洗う」というタスクがある人は、男女問わず少なくないのではないでしょうか。
実は、この「洗面台で髪を洗う」という習慣は、今から約40年前に開発された“ある”洗面台によって生まれたのだそう。開発の経緯などについて、TOTO株式会社の広報部・阿部さんに話を聞きました。
―――一般家庭に「洗面化粧台」が登場したのはいつ?
【阿部さん】 1966(昭和41)年、公団住宅向けに、洗面器・鏡・収納ができる現在のような「洗面化粧台」の製造・販売が始まりました。それまでは台所などで顔を洗うことが多かったのですが、洗面化粧台の登場により洗面所が化粧などの身支度を行う場所になっていきました。
その後、厚みを薄くした木製キャビネット式の商品が登場。以降、一般向けにどんどん進化していき、1960(昭和35)年代後半には各メーカーがさまざまな化粧台を開発。1968(昭和43)年ごろからは、実用性だけでなくデザインにもこだわった商品が数多く登場しました。
―――それまでの洗面所はどんな形だった?
【阿部さん】 今でこそ当たり前の存在となった洗面所ですが、戦前は井戸や台所などのそばに貯めておいた桶の水で顔を洗う程度。化粧などの身支度は居室で行うのが一般的でした。
1945(昭和20)年ごろに行われた上下水道の整備とともに、手洗い場が独立した洗面所が登場。1964(昭和39)年ごろになると、収納場所のある木製キャビネットの上に陶器の洗面器を備えるのみの「洗面台」が登場しました。
―――洗髪できる洗面台が登場したのはいつ?
【阿部さん】 1985(昭和60)年に初代「シャンプードレッサー」が誕生しました。洗面化粧台が登場して以降、さまざまな商品が開発されるなかでお客様の要望も多様化していきました。なかでも多かった「洗面化粧台で洗髪をしたい!」というリクエストに応えるかたちで、日本初となる“洗髪機能を備えた洗面化粧台”を開発。その後も、より快適にシャワーができるようにと開発が続けられました。