海外に住んで、母国の良さを再認識することもあれば、その国の文化や習慣が母国にもあればと感じることもあるでしょう。このコラムでは、元新聞記者で、現在二児の母としてマレーシアで暮らす斉藤絵美さんが、現地での出来事や習慣について紹介します。今回は「祝日」について取り上げます。
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あっという間にやってきた年の瀬、一年を締め括る12月に入りました。慌ただしい日々が続いていると思いますが、日本で12月は、年末休暇はあっても祝日は無い月ですね。夫の転勤に伴い、家族でマレーシアに越してきて1年半が過ぎ、気づいたことは、この国の祝日の多さです。
クアラルンプール日本人会などのホームページによると、2024年のマレーシア首都圏(クアラルンプール、セランゴール州)における年間祝日数は21日。世界平均は10日前後とされており、主要7か国(G7)で最多とされる日本(16日)よりも多いのです。州ごとの祝日も含めると、祝日は48日にも上ります。加えて、企業や学校も週休2日制のところが多いため、月によっては半分近くが休みになる年もありました。
祝日の多さの背景には、多宗教、多民族国家であることが影響しています。
マレーシアは大きく分けて、イスラム教を信仰するマレー系、中華系、インド系の3つに分かれます。2024年のカレンダーによると、イスラム教徒らに関連する祝日は、4月10-11日のハリラヤプアサ(ラマダン明け)や、7月7日のアワルムハラム(イスラム暦の新年)などがあり、2月10-12日は中華系に関係するチャイニーズニューイヤー(旧正月)、1月25日にはヒンズー教(インド系)の祝日「タイプーサム」があります。
祝日の種類が多過ぎて、ローカル(=地元)の人からも「よくわからないけれど、今週はインド系の祝日があったよね?」といった会話がよく聞かれます。州の国王の誕生日が祝日となるケースでは、「偉い人の誕生日」という程度です。
それに加えて、突発的に祝日が“できる”こともあります。
2021年12月には首都・クアラルンプールのサッカーチームがマレーシア杯で優勝したことを受け、連邦直轄区(クアラルンプールなど)で試合3日後の金曜日が突然祝日となったそうです。