人々の生活を支えるライフライン。なかでも、環境に優しく災害に強いエネルギーとして、いま改めて注目を浴びているのがLPガスです。兵庫県の淡路島では50年以上にわたってエネルギーの主役を担っており、地域の人たちの生活や伝統産業のみならず、災害時にも役立てられているといいます。
淡路島には、日本三代瓦の一つといわれ、いぶし瓦では全国一の生産量を誇る伝統産業「淡路瓦」がありますが、LPガスは、淡路瓦を焼く際の燃料としても用いられています。兵庫県LPガス協会・淡路支部長の志智仁(しち・ひとし)さんによると、同支部には約40の業者が加盟しています。
日常の暮らしや伝統産業を支えるLPガスが、“災害時に強い”とされる力を発揮したのが、1995(平成7)年の阪神・淡路大震災でした。当時、淡路島ではほとんどの家庭がLPガスを使用していたこともあり、ほかの地域と比べてガスの復旧が早かったといわれています。
日本全国において、さまざまな災害が起こりうる現在。南あわじ市の萬勝寺(まんしょうじ)は、災害発生時には地域住民や檀家が身を寄せる可能性が高いとして、LPガスの「災害対応型バルク供給システム」(※1)を導入しました。「避難してきた人に1日も早く温かい食事や冷暖房を提供したい」という思いからの判断だったそうです。
同システムを構成する「バルク貯槽」は家庭用タンクと比べて大容量であることから、大人数での使用に対応しているほか、非常時には74時間使用できる設計で設置されているとのこと。地域の人たちにとって、もしものときの安心材料としての役割も果たしているといいます。
こうした動きを背景に、同協会では兵庫県に対し、学校の体育館に空調と併せて同システムの導入を働きかけているとのこと。志智さんは、淡路島でのLPガス利活用の長い歴史を踏まえ「皆さんに安心して使用していただければ」と話しました。
※1 バルク貯槽。大容量のLPガス貯槽にガスコックを付帯して、供給設備や消費設備(煮炊き釜、コンロ、暖房機器、発電機など)が使用できるシステム。
※ラジオ関西『谷五郎の笑って暮らそう』2023年11月21日放送分より