標準語の意味と全く違う? 広島県の「たちまち」 居酒屋おなじみフレーズとして多用されるワケとは | ラジトピ ラジオ関西トピックス

標準語の意味と全く違う? 広島県の「たちまち」 居酒屋おなじみフレーズとして多用されるワケとは

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 仕事帰りや休みの日、居酒屋に立ち寄って過ごす時間は何にもかえがたい癒しのひと時。そして同僚や友人と合流し、メニューを見る前に「とりあえずビールで!」とオーダーする光景は、全国各地で見られるものでしょう。そんな居酒屋でのおなじみフレーズ「とりあえずビール」ですが、広島県では「とりあえず」ではなく「たちまち」という言葉を使うことをご存知でしょうか? 「たちまち」といえば、一般的には「すぐに」や「瞬く間に」をさす言葉のはず。「たちまちビール」では意味不明なような気もしますが……?

グルメも豊富な広島県では「たちまちビール」という独自のワードが浸透している(イメージ)

 調べてみると、広島県全域で使われる「たちまち」とは方言のひとつで「とりあえず」とほぼ同じ意味を持ち、同県では老若男女関わらずきわめて一般的な言葉だそう。ですので「たちまちビール」=「とりあえずビール」ということなのです。

 そんな広島独特の方言「たちまち」が由来するおもしろいサブスクリプションサービスを発見しました。その名も『たちまち』。月額500円を支払えば、サービス加盟店で1軒につき1日1回までドリンク1杯を無料オーダー可能というもの(店の件数は制限なし) 。コロナ禍で、全国の飲食店をはじめ、酒造メーカーや酒蔵、食品卸に至るまで飲食業界が広く窮地に陥ったことから、2021年に地域の飲食街全体ではしご酒やリピート客を増やそう、というコンセプトで始まったそうです。

 同サービスを運営する『たちまち合同会社』(本社:広島県世羅郡)の藤井さんに、方言としての“たちまち”について解説してもらいました。

「“たちまち”は、全国の皆さんが『とりあえずビールで』というのと同じように、『たちまちビール、あと決まったら言います』というような形で使われます。日常生活でも多用されていて、『たちまち改札で待っとくわ』『たちまちそっち方向向かうね』『たちまち百均で買うて我慢しとる』みたいな感じですね」(藤井さん)

 またイントネーションも異なるといい、「標準語の“ぼたもち”や“勝ち負け”に近い」と藤井さん。

“たちまち”という方言が飲食店での定型文的フレーズとして浸透した背景について藤井さんは、「広島県は居酒屋文化が他府県と比べて盛んというわけではありません。ですが京都の伏見・兵庫の灘と並ぶ酒どころ西条があり、酒造りは盛んです。有名な酒造メーカーや酒蔵をはじめ、最近ではブルワリーやワイナリーも増えています。また県民の嗜好性として、食べる→飲む→食べるというように1軒では終わらない“はしご文化”が特徴的。それも関係しているのかもしれません」と分析。

居酒屋に駆け付け1杯、まずはなんとオーダーする?(イメージ)

☆☆☆☆
 
 同じ言葉でも全く意味の違う方言はまだまだ日本各地に存在するはず。調べてみると面白いかもしれませんね!

(取材・文=つちだ四郎)

◆たちまち合同会社
722-1702
広島県世羅郡世羅町大字山中福田2860
問い合わせ窓口
tachimachi@tachimachi.jp
たちまち 公式サイト

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