「舞台の上でせりふが飛んでも、それさえ笑いに変えてしまう」。
お笑いコンビ・ケツカッチンの高山トモヒロが、自身がパーソリティを務めるラジオ番組で、芸人・坂田利夫の持つ魅力や舞台裏でのエピソードを明かした。
ちょびひげのメイクに赤いエプロンを着けた「アホの坂田」というキャラクターでおなじみの坂田。高山は、集団コント“坂田スペシャル”を引き合いに出し、「ある程度お年を召すと、ちょっとせりふが飛んでしまうこともあるんですよね。僕たちの場合、ネタ中にせりふが飛ぶと、観てるお客さんも(せりふを忘れたことが伝わって)不安になって盛り下がってしまうのに、坂田師匠の場合はそれすらも笑いに変えてしまうんですよ」と話した。
とある舞台では、高山が先生役、坂田含む他の芸人が生徒役だったそうで「『みんな整列してるか、じゃあ点呼取るぞ』という僕の号令を受けて、皆が1、2、3と番号を言っていくシーンがあったんです。そこで坂田師匠が全然違う数字を言うだけでベタな面白さがあるじゃないですか、でも坂田師匠は、順番通り1、2、3ときて『4!』って答えて、客席は大爆笑。普通に答えただけなのに、僕らがやったらウケへんのに、不思議ですよね」と、大先輩である坂田の持つ独特の面白さを語った。
さらに高山は、坂田のメディアでのイメージと普段とのギャップも明かした。
「おしゃれなんですよ。劇場の合間に(坂田が)皆をご飯に誘ってくれたとき、みんな軽い服装で出るのに、坂田師匠は着て来た私服にピシッと着替えてくるんですよ。夏場でもジャケット1枚羽織ったりして」(高山)
しかし、そこで終わらないのが坂田だ。「エレベーターで坂田師匠が着替えて来るのを待ってたら、めちゃくちゃおしゃれに着替えてるのに、ちょびひげのメイク消し忘れてたりするんです(笑)」(高山)
じつはおしゃれ、そしてお茶目な横顔ものぞかせる坂田は、温厚な人柄で知られる。高山は、そんな坂田が怒ったところを一度だけ見たことがあるのだそう。
坂田と一緒に、吉本興業関連の建物内でエレベーターから降りた時のこと。「目の前の自動販売機で作業してる方がいたんです。僕たちはその横をサッと通り過ぎて楽屋に向かったんですけど、坂田師匠が急に立ち止まって、作業員さんを振り返って『今、目合ったよな、挨拶せえへんのか』って。作業員さんは、もうビックリ。立ち上がって企業名まで名乗ってたんですけど、坂田師匠、『そんな若手知らんねんけどな』って。(僕は)『師匠、作業員ですよ』と。後輩やと思って注意しちゃったんですよね」(高山)
高山は笑いながら当時を振り返りつつ、舞台上でも舞台裏でも数々のエピソードを残す坂田を「日本の宝」と称していた。
※ラジオ関西『Clip木曜日』より