年の瀬もいよいよ目前へと迫ってきました。年末年始、親戚と集まって人生ゲームを楽しむ……なんて経験がある人も多いのではないでしょうか。
大人から子どもまで誰しも1度は遊んだことがあるであろう、文字通り“国民的ボードゲーム”の「人生ゲーム」。実は、発売から半世紀以上が経つ超ロングセラー商品なのです。不動の人気を誇る理由や意外な歴史について、株式会社タカラトミーの「人生ゲーム」担当者・池澤圭さんに話を聞きました。
―――いつ誕生した?
【池澤さん】 実は、「人生ゲーム」のルーツはアメリカにあります。1860年、アメリカで印刷業を営むミルトン・ブラッドレーという24才の若者が作った「THE CHECKERD GAME OF LIFE」というボードゲームが起源なんです。人生で起こるさまざまな出来事が書かれたマスを進みながら、聖書の教えに従って善行を積みポイントを稼いでいくという内容でした。
100年後の1960年、同じくアメリカで「THE CHECKERD GAME OF LIFE」のエッセンスを盛り込んだ「THE GAME OF LIFE」という名のボードゲームが発売されました。日本に上陸したのは、8年後となる1968年のこと。翻訳版として発売されたのが、日本における「人生ゲーム」の始まりです。
当時は「タカラのアメリカンゲーム」と称して、30種類以上のゲームを日本に導入していましたが、現在も展開が続いているのは「人生ゲーム」のみです。もともと日本にあった「すごろく」に似ていたこと、高度経済成長期において“アメリカン・ドリーム”を体現した内容であることが人気の理由で、初代は300万台を売り上げる異例の大ヒット商品となりました。当時、テレビコマーシャルで流れていた「人生、山あり谷あり」というキャッチコピーを覚えている人もいるのではないでしょうか。
―――発売から半世紀以上が経ちますが、どのような変化を遂げてきたのでしょうか?
【池澤さん】 今年4月に発売された8代目「人生ゲーム」は、シリーズのなかでは73作品目になります。初代はもととなったアメリカのゲームを翻訳した内容だったので、マスも「牧場の跡継ぎになる」や「ロールスロイスを買う」などアメリカでの成功を描いたストーリーでした。