ダンスシーンがたっぷりの冥界ファンタジー『ヤマドンガ』など、南インド映画4作品の特集上映として『熱風!!南インド映画の世界』が全国で順次開催されています。
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貧しい少年ラジャは泥棒をして生活しています。ラジャはある日、裕福な少女マヒの命を助けます。マヒはラジャに恋心を抱き、ラジャへペンダントをプレゼントします。それから12年経ち、マヒは祖父の莫大な財産を相続することになりましたが、この遺産を狙うおじたち親族に家を乗っ取られてしまいます。ラジャは召使いのように扱われ、1日中働かされていました。おじたちはマヒが失踪したように装って、遺産を奪おうとします。
一方、ラジャは資産家の女性ダナラクシュミから多額の借金をしていて、返済のため相棒のサクティとともに報酬の高い仕事を引き受けます。この任務の途中でラジャは、男たちに追われているマヒを助けます。ラジャに保護されたマヒは、ラジャがネックレスを持っているのを見て、12年前に恋をした相手だと気づきます。
ラジャたちは任務を終えて報酬を受け取ろうとしましたが、依頼人が死んだために金をもらうことができませんでした。ラジャはやけ酒を飲み、閻魔大王の悪口を言います。それを聞いた閻魔大王は怒ります。ラジャを死なせることにして、地獄に呼び寄せてしまいます。
しかし、ラジャは明るい性格と持ち前の話術で地獄の民たちの人気を獲得します。閻魔大王を選ぶ選挙が地獄で行われることになり、選挙の結果、ラジャは閻魔大王となります。
ラジャは地上に戻り、マヒと再会します。ラジャはマヒをおじたちから救うことを決意します……。
去年公開された『RRR』が大ヒットしたのをきっかけに、インド映画が注目されています。『RRR』はインド映画歴代ナンバーワンの興行収入を記録しました。劇中歌『Naatu Naatu(ナートゥ・ナートゥ)』は、ゴールデン・グローブ賞最優秀主題歌賞とアカデミー賞最優秀歌曲賞をインド映画で初めて獲得しています。
今作『ヤマドンガ』は『RRR』と同じく、監督がS.S.ラージャマウリ、主演俳優がNTR Jr.(エヌティーアールジュニア)です。
マヒを演じるのはプリヤーマニ、閻魔大王はモーハン・バーブです。2007年の映画ですが、日本の劇場では未公開でした。今回初めてスクリーンで上映されています。
『ヤマドンガ』は、閻魔大王のいる冥界をきらびやかで美しい世界として描いています。閻魔大王は物語の後半で地上に現れるのですが、こうした神話の神々が現代で人間と交流する作品をソシオ・ファンタジーと呼ぶそうです。