1年の世相を漢字1文字で表す「今年の漢字」、 2023年は『税(ゼイ・みつぎ)』。
世界文化遺産・清水寺(京都市東山区)奥の院で、森清範貫主(83)が巨大な色紙(京都府指定無形文化財・黒谷和紙)に揮毫(きごう)する姿は、師走の風物詩となって久しい。
公益財団法人・日本漢字能力検定協会(京都市東山区)が、日本全国からはがきやインターネット、投票箱で募り、最も多い漢字1文字を選ぶ。今年で29回目を迎えた。
最初の年・1995(平成7)年は阪神・淡路大震災やオウム真理教事件、金融機関の破たんなどに"震えた"「震」だった。
2023年の応募数14万7878票(昨年比-7万5890票)のうち、第1位の「税」は、5976 票(4.04%)を集めて、2014年以来 2 度目の第1位。第2位の「暑」とは405票差だった。
人々の印象や記憶をダイレクトに表す「今年の漢字」。主催する日本漢字能力検定協会・山崎信夫代表理事は、「票の少なさは、さまざまなことがあった2023年、皆さんの”迷い”があったのでは」とみている。
発表は12月12日、募集終了はその5日前の12月7日。「メールやはがきは、ダイレクトに事務局に届くが、全国1500か所以上の応募箱は回収後の“開票作業”となるため、第1位の漢字が耳に届くのは当日の朝」と話す山崎代表理事は、2023年、「税」のみならず、上位にランクインした漢字から見る人々の心の動きを次のように分析した。
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プロ野球・阪神タイガースの38年ぶり日本一、関西に住む方々にとって「虎」(第4位 4674票・2003年の第1位)が印象的だったかも知れないし、アメリカ・大リーグでの大谷翔平選手の活躍から「翔」(第11位 2286票)など野球に関連する文字が上位にあがると思いきや、「税」がトップになったのは、国民のシビアな感情、生活に直結することに大きな関心を持つ傾向が如実に表れたのではないだろうか。