関西在住の人なら誰しも一度はその名を耳にしたことがあるであろう『京阪電車』。しかし、その全車両に「お札」が掛けられていることは知っていますか? いったいなぜなのか、その理由を京阪電気鉄道株式会社 広報部・征矢志ほりさんに聞きました。
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車両に掛けられているお札には「御守 成田山」と書かれています。征矢さんによるとこのお札は寝屋川市にある成田山不動尊のものだそう。こちらは日本で初めて交通安全祈祷殿を建立し、交通安全祈願の寺として広く知られています。
京阪電車と成田山不動尊には、どのような関係性があるのでしょうか? 重要なのは“位置関係”だと征矢さん。昔から、邪悪な鬼が出入りする方角である鬼門(北東)には、御所や幕府を守る存在としてお寺が建てられてきました。そこで京阪電車では、大阪市から見て鬼門に位置する成田山不動尊に安全祈願のために毎年参拝、車両内に掛けられているお札はその際に授与されたものなのだそう。京阪電車の車両数は2023年3月末時点で696両。うち2両は石清水八幡宮参道ケーブルのため、石清水八幡宮で授与されたお札とのこと。実に全694車両にお札が掛けられているのです。
また、お札は京阪バスにも掛けられています。その数なんと580両。電車・バス合わせると、お札の数は1000枚以上になります。これらすべて「お客さまの安全祈願」のためなのだと征矢さんは教えてくれました。
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京都・大阪・滋賀を結ぶ京阪電車。関西で馴染み深い電車やバスに掛けられたお札には、古くから伝えられてきた「鬼門」の考え方と安全への願いが込められていました。乗車した際はチェックしてみるといいかもしれません。
(取材・文=迫田ヒロミ)