奈良県大和郡山市は、2024(令和6)年1月1日に市制70周年を迎えた。併せて、金魚養殖の職人を連れて郡山城主となった柳澤吉里候の入城から300年という、ダブルで節目の年に。大和郡山市の上田清市長が、11日、ラジオ関西の生番組に出演し「今年は時代を担う子どもたちの心に残るイベントを開催したい」と、メモリアルイヤーの意気込みを語った。
大和郡山市は、奈良県北部、奈良市の南西に位置し、広さは42キロ平方メートル。上田市長は「スマートシティという言葉があるが、コンパクトな『スマート城下町』」と紹介した。中心部にある「郡山城跡」をはじめ、金魚のまちとしても知られている。郡山城の初代藩主は筒井順慶で、その後豊臣秀吉の弟・秀長が大和・紀伊・和泉の100万石の領地を治めた。関ヶ原の戦いの後廃城となったが修復され、江戸時代の1724(享保9)年に、山梨県甲府から柳澤吉里が入城した。その際に金魚養殖の職人を連れてきた歴史があり、大和郡山に金魚が伝来して300年となった。現在も年間4300万匹を出荷する国内有数の金魚の産地で、毎年開かれる「全国金魚すくい選手権大会」は、今年29回目となる。
金魚とお城だけでなく、農業も盛ん。奈良県はいちじくの生産量が全国7位で、その大半を大和郡山市で生産している。上田市長は「そのまま食べても美味しいが、加工品ができたらと、数年前から大和郡山産のいちじく100パーセントを使った『いちじくワイン』にチャレンジし、好評をいただいている」と紹介した。
また、奈良県が認定する「大和の伝統野菜」でもある大和丸なすの産地として知られる。この大和丸なすのPR大使を務めるのが、神戸出身の5人組アカペラグループ「チキンガーリックステーキ」。この日市長と共に出演したメンバーの前澤弘明氏は「25年ほど前に全国金魚すくい選手権大会のゲストに呼んでもらってから、大和郡山とのご縁がある。大和丸なすのPR大使に選ばれたのは驚いたが、煮ても焼いても美味しいので、ぜひ多くの人に食べてもらいたい」と話した。
そんな多彩な魅力がある大和郡山市だが、メモリアルイヤーの今年はさらに話題が目白押しだという。上田市長が「中でも注目」としたのが、300年前の「金魚の旅」を追体験するプロジェクト。「甲斐の甲府藩から郡山藩(大和郡山)に柳澤候が移った際、お殿様は江戸から来たが、家臣・領民たち5286人は甲府から中山道を歩いてきた。400キロの道のりを10日間かけて。それを再現しようかと」と明かした。題して「金魚が旅した中山道を歩くプロジェクト」。詳細は検討中とのことだが、「甲府市とは姉妹都市でもあり、仲良くさせてもらっている。当時、甲府から移り住んだ人の子孫が今も大和郡山にいますから、つながり、ご縁を大事にしたい」と語った。
上田市長は「市制70周年を迎え、そろそろ100周年を意識した方がいいと思っている。その時の主役は今の子どもたち。今年のメモリアルイヤーには、子どもたちの心に残るようなイベントを数多く実施していきたい」と、熱い思いで締めくくった。
※ラジオ関西『三上公也の朝は恋人』2024年1月11日放送回より