発生から15日で2週間が過ぎた石川県能登半島地震の被災地で、空き巣や避難所での窃盗、住宅の修繕費名目で法外な料金を請求されるなどの悪質商法といった、災害に便乗した犯罪による被害が懸念される。
こうしたことから兵庫県警は14日、「特別生活安全部隊」を石川県へ派遣した。
兵庫県警・生活安全部の各部署で、志願した幅広い世代の男女6人の警察官が、被災者からの相談に幅広く対応し、防犯指導を強化するのが目的だが、被災者に寄り添い、心のケアにも取り組む。3人1組で2グループに分かれ、23日まで任務に当たる。
12日に行われた発隊式で、蓮井賢一・生活安全部長は「29年前の阪神・淡路大震災で、全国の警察から支援などでお世話になった兵庫県警の警察官として、その恩返しを兼ねて現地で任務に当たってほしい。大切な家族を亡くした方や自宅を失った方、長引く避難所での生活でストレスや不安を抱えている方々の心を十分にくみ取り、寄り添ってほしい」と訓示した。
被災地に向かう少年課の志茂千愛(しも・ちさと)巡査長は「高校卒業時に東日本大震災でボランティアをした経験から、今度は警察官として、災害現場への派遣をずっと希望してきた。被害状況は人それぞれ異なるので、100パーセント被災者の方々の不安を解消できるかはわからない。一人一人に合った相談を受け入れ、寄り添いたい」と決意を語った。
生活経済課の井出裕一朗巡査部長は、2011年の東日本大震災で機動隊員として被災地へ。「当時の状況はよく覚えている。救助活動以外でも被災者の方に接した経験があった。今回もそれを生かしたい」と話した。
生活安全特別捜査隊の山口あゆみ巡査部長は、「大災害を目の当たりにしたことはないが、先輩方から、阪神・淡路大震災を経験した兵庫県警だからこそできることを伝え聞いている。能登の被災者の皆さんに接して、傷ついた心を少しでも和らげたい」と意気込む。
人身安全課の四間彩乃(しけん・あやの)巡査長は、阪神・淡路大震災の時に結成された女性警察官部隊「のじぎく隊」として、2016年の熊本地震の被災地へ派遣された経験を持つ。「当時、不安な表情の高齢者の話に耳を傾け、前向きな気持ちになっていただいた。能登でも被災者の話を聞き、寄り添うことができれば」と話した。