大阪から車で3時間半。カニを目当てに、寒い季節にこそ行きたくなるのが城崎温泉だ。このたび、劇作家・演出家 平田オリザさんのラジオ番組(ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』)に、「城崎温泉あさぎり荘」営業課主幹の宮口祐一郎さんと、副料理長の黒田一行さんがゲスト出演。城崎温泉の冬の情景や、カニ尽くし料理について語った。
自然豊かな兵庫県豊岡市・円山川のほとりに建つ「城崎温泉あさぎり荘」。円山川は、気温が下がってくると海に向かって霧をともなう冷気が川を下る現象“日本三大川あらし”のひとつにも数えられる。
「あさぎり荘」の名の通り、客室からは、円山川に朝もやがかすみ美しく広がる様子を堪能できる。2年前より、館内の緑豊かな庭園にコウノトリの人工巣塔を設置しており、運が良ければ優雅にはばたく姿を間近で見ることも可能だ。
もともとJAグループの宿泊保養施設である同施設では、地元生産者から仕入れた新鮮で栄養価の高い旬の特産品をふんだんに使用。料理人が技を尽くし、厳選された食材をそのときの最もおいしい食べ方で提供する。
なかでも、冬の味覚「カニ」は身づまりも良く上品な味わいでリピートするファンも多い。近年、価格が高騰しているズワイガニだが、去年までの買い控えもあり現在価格は落ち着いているとのこと。
同施設で提供される「カニ会席」には、二杯強のカニが使用されている。副料理長の黒田さんは、「刺身や自家製のカニ味噌豆腐、焼きガニ、天ぷら。さらには、釜めしや椀物にもふんだんにカニを使い、カニのすべてを味わっていただけます」と太鼓判を押す。
ほかに、仕入れを工夫することで、地元ブランド牛として知られる但馬牛をあわせたぜいたくなプランなども企画している。
城崎温泉では、古来より町全体を「宿」に見立て、それぞれの旅館が「客室」、土産物屋は「売店」、7つある外湯は「大浴場」として機能している。まるで旅館のなかを歩いているかのように、老若男女が浴衣でまちをそぞろ歩く姿は城崎では馴染みの風景だ。
滞在中に少しでも地元文化に触れてもらえるよう、観光協会は「麦わら細工体験」や「オリジナル香水づくり」などのさまざまな体験教室を実施。近年は、若者や台湾・香港をはじめとするアジア諸国からの観光客の人気も高まっている。
観光地としての人気が高まるなか、あさぎり荘では、高齢者も安心して温泉を楽しめるようバリアフリー対応の内湯を設置。次年度には別館客室を和モダンテイストにリニューアルする予定もあり、幅広い層のニーズに応えるべく変革を進めている。