昭和のあのころ、お父さんが必ず持っていたものといえば、たばことライター。特に、子どもだった当時はなかなか触らせてもらえなかったライターが印象に残っている、という人は多いのではないでしょうか。
そんな昭和のライターの流行について、1946年創業の喫煙具総合メーカー・株式会社ペンギンライターに話を聞きました。
―――日本ではいつごろライターが登場した?
【担当者】 1900年代初頭ごろ、ヨーロッパで発明された「発火石」がライターのはじまりとされています。日本にも古くから点火するものはあったそうですが、いわゆる「ライター」と呼ばれるものは、1900年代初頭以降のヨーロッパから徐々に浸透してきたと考えられています。当時は、おもにたばこに着火することを目的として使われはじめました。
―――戦後の日本ではどのようなライターが使われていた?
【担当者】 戦後はオイルライターが全盛で、最初に登場したのは筒状のタンクが併設されたライターでした。その後、“ロンソンタイプ”や“アドニスタイプ”と呼ばれる、ギアを使ったライターが登場しました。
1960年代になると、長持ちして使い勝手の良いガスライターが登場しました。もともとヨーロッパで作られていたものだったのですが、日本でも大流行しました。
―――1960年代に人気だったライターは?
【担当者】 1960年代後半~1970年代は特に、「dunhill(ダンヒル)」や「Cartier(カルティエ)」などのファッションブランドが販売していた金属製のガスライターが大きな反響を呼びました。当時、海外製のガスライターは1個3〜5万円で売られており、日本製とは桁が違いましたね。
このころには日本も段々豊かになってきたことから海外旅行に行くようになり、こういったライターをお土産で買ってくる人が多くなりました。
さらに、100グラム以上もあるようなずっしりと重くファッション性のあるライターが人気を博した時代でした。ジーンズなどのカジュアルな服装で使うのではなく、夜の街でスーツを着て使うような“かっこいい”ライターに憧れた男の人も多かったのではないでしょうか。
同時期にはほかにも、「タンクボーイ」というスキューバダイビングで使うタンクのようなかわいらしい形をしたライターが日本のメーカーから発売され、爆発的にヒットしました。