「不審な電話には出ないで!」 特殊詐欺の代表的な3つの手口 兵庫県では具体的対策に補助金も | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「不審な電話には出ないで!」 特殊詐欺の代表的な3つの手口 兵庫県では具体的対策に補助金も

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 毎年被害が発生している特殊詐欺。各自治体でもさまざまな対策や啓発活動が行われています。兵庫県の特殊詐欺被害は過去最悪のペースで増加しており、令和5年中の同県の被害件数は過去最多の1224件。被害額は約19.9億円にのぼります(いずれも速報値)。日頃から注意していても、特殊詐欺が無くならないのはなぜなのか。同県での現状や対策について、兵庫県県民生活部くらし安全課の上浦知英さんに話を聞きました。

◆「特殊詐欺」とはどういった犯罪?

「特殊詐欺」とは、 電話をかけるなどして対面することなく相手を信頼させて、指定した預金口座への振り込みや、その他の方法で不特定多数の人から現金をだましとる犯罪のことの総称です。

「特殊詐欺」は電話などで信頼させて不特定多数の人から現金をだましとる犯罪
「特殊詐欺」は電話などで信頼させて不特定多数の人から現金をだましとる犯罪

 具体的な事例を紹介します。

 1つ目は「還付金詐欺」。実際に起きた事例では、高齢者の自宅に市役所や区役所の職員をかたって「医療費の還付金がある」「ATMで受け取れる」などと嘘の電話をかけてATMに誘導するケースが発生。高齢者に携帯電話で連絡させた上、嘘のATM操作方法を教えることで、犯人側の口座への振込手続きをさせる事案がありました。

 2つ目は「架空料金請求詐欺」です。未払いの料金があるなど、架空の事実を口実とし金銭などをだまし取る(脅し取る)のが特徴です。特にパソコンの画面にウイルス感染の警告を表示させるものや、警告音や音声が流れて修理サポート代金をだまし取る“サポート詐欺”の手口が多い傾向にあるといいます。

パソコンに突然表れるウイルス感染や警告音。焦って冷静な判断が難しいことも。
パソコンに突然現れるウイルス感染や警告音 焦って冷静な判断が難しいことも

 さらに「キャッシュカード詐欺盗」も。キャッシュカードをだまし取られるケースで、警察官や銀行協会、大手百貨店などの職員を装って被害者に電話をかけてくる事案があったそうです。「キャッシュカードが不正に利用されている」などといってだまし、被害者にキャッシュカードなどを準備させた上で、隙を見て窃取する手口などが発生しています。

 上浦さんによると、「架空料金請求詐欺」と「還付金詐欺」の手口は、特殊詐欺全体の約7割にも及ぶそう。また、特殊詐欺被害者の約8割が65歳以上の高齢者で、神戸・阪神地域での発生が約7割を占めます。そのため兵庫県警察でも、高齢者宅への個別訪問による注意喚起や、コンビニや金融機関への被害防止の協力依頼など、官民一体となって被害防止活動を展開しています。

被害者は高齢者(65歳以上)が約8割。神戸・阪神地域での発生が多い(提供:兵庫県) 
被害者は高齢者(65歳以上)が約8割。神戸・阪神地域での発生が多い(提供:兵庫県) 

◆アプローチは「自宅の固定電話」が約6割

 犯人グループから被害者へのアプローチの約6割が「自宅の固定電話」なのだそう。「まずは、不審な電話に出ないように対策することが非常に有効です」と上浦さんはいいます。効果的な対策方法としては、着信時に警告メッセージが流れる機能や、自動で通話を録音する機能がついた電話機を備えること。

◆具体的対策に補助金

 兵庫県では、65歳以上の人を対象に、令和5年度から6年度にかけて自動録音電話機購入補助事業が実施されています。対象電話機購入の場合は1万円(上限)、対象外付け録音機の場合は5000円(上限)とし、対策支援を拡充しているそうです。※制度の詳細は各市町によって異なります。

兵庫県では自動録音電話機の購入補助を実施(提供:兵庫県)
兵庫県では自動録音電話機の購入補助を実施(提供:兵庫県)

 その他にも同県では、特殊詐欺被害の増加を踏まえて、2023(令和5)年11月に「兵庫県特殊詐欺集中対策本部」を設置。また、多様化する特殊詐欺の手口や対策についての認知が広がるよう、多様な方法での広報や、市・町、県警と連携した啓発キャンペーンを実施しています。特殊詐欺被害対策講習会の実施もその一つです。

 特殊詐欺もあの手この手でどんどん巧妙になってきているため、「私はだまされない!」ではなく、「もしかして……」と立ち止まることが大切だといいます。「もし不審な電話がかかってきた場合、犯人は言葉巧みに話を進めますので、一度電話に出てしまうと相手のペースに巻き込まれて冷静な判断ができなくなってしまいます。電話でお金の話が出たときは、必ず誰かに相談してから対応してください」と上浦さん。相談できる相手がいない、または相談しても本当かどうか分からないというような場合には、遠慮することなく最寄りの警察署に相談してほしいとのことでした。

(取材・文=市岡千枝)

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