兵庫県福崎町の天台宗古刹・應聖寺(おうしょうじ)で、沙羅双樹の花が見ごろを迎えた。
正式にはナツツバキ(夏椿)という。『平家物語』の冒頭には「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす」とあり、沙羅は諸行無常をたとえる花とされる。
白い花が朝に咲き夕方には散ることから、平家物語では「盛者必衰の理(ことわり)をあらわす」と記されている。
「栄華を誇った平家ですら、すぐ源氏に取って代わられたことから、私たちの人生も春の夜の夢のようにはかないものだ」と人の世の無常を教えてくれる。
7月上旬までが見ごろ。毎年1日だけの花を見に訪れる参拝客でにぎわう。
應聖寺には江戸時代から伝わる樹齢300年を超す沙羅の大木があった。しかし1996(平成8)年、突如枯れてしまった。桑谷祐顕住職は「まさに諸行無常の理(ことわり)の通り、”樹命”を終えるのかと実感した。生きとし生けるものは、みな終わりがあるのだと教えられた」と話す。
現在では、その大木の種から芽吹いた子や孫にあたる沙羅の木が、大小約200本育っている。
◆應聖寺茶室「不動庵」夏季特別公開
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