ケバブや伸びるアイスなどのグルメで有名なトルコ。実は“茶文化”も盛んな国であることをご存知でしょうか。トルコでは茶のことを「チャイ」と呼ぶのだそう。チャイと聞くと日本人の多くは“スパイスの効いたインドのミルクティー”イメージを想起するでしょうが、それとはまったく違うものなのだとか。トルコ雑貨を扱う「ぎゃるぎゃる」(岡山県倉敷市)の大野さんに話を聞きました。
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トルコ語でチャイとは「茶全般」を意味します。スパイスはもちろん、ミルクも入れずに飲むのがスタンダードなので、まったくの別物。「チャイ(紅茶)は、トルコ人にとって欠かせません」と大野さん。まずは、朝食の時間にパンやチーズと一緒にチャイを飲むことからはじまります。さらに食後や休憩時間など、トルコの人々は 1日のあらゆる場面でチャイを楽しみ、来客の際にもたっぷりとふるまうのがお決まりの流れなのです。
専用の茶器も充実しています。チャイを飲むために作られた「チャイグラス」もそのひとつ。くびれたフォルムや美麗な装飾は飾っておきたいほどの美しさ。ですが「日本でいうところの湯呑み」と大野さん。2~30個揃えている家庭も珍しくないそうです。
チャイを注ぐためのポットは「チャイダンルック」といい、大野さんは「2段重ねのポットのこと。下の段から出る蒸気で上の段の茶葉を蒸し煮し出来上がった濃いお茶を下段のお湯で薄めて飲みます」と説明。
トルコの人々の生活に欠かせないチャイですが、その文化は比較的最近根付いたものだといいます。
「今でこそ紅茶文化が浸透していますが、昔のトルコ人は紅茶よりむしろコーヒーを多く飲んでいました。第一次世界大戦でコーヒー生産地である南東部を失い、初代大統領のケマル・アタチュルクがリゼ地方を茶葉の生産地に指定します。それ以降、トルコ人にとって紅茶がなくてはならない存在になりました」(大野さん)
独特な淹れ方で知られる「トルココーヒー」の存在からも分かる通り、もとはコーヒーが主流でした。戦後に紅茶の生産が始まり、安価で手に入るようになったことから今のようにチャイをふるまう習慣が定着したといわれています。
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ちなみに、トルコでは1日に十数杯チャイを飲む人も珍しくないそうです。「そんなに飲んで大丈夫なの?」と心配になってしまいますが、トルコで飲まれるチャイの茶葉は農薬や添加物を使用せず、カフェインもほかの紅茶と比べ少ないのです。2024年は日本とトルコ共和国が外交関係樹立100周年を迎えた年。これを機にトルコのチャイを試してみるといいかもしれません。
(取材・文=つちだ四郎)
◆トルコ雑貨&カフェ ぎゃるぎゃる
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