兵庫県の斎藤元彦知事のパワーハラスメント疑惑などを告発する文書を作成した元西播磨県民局長の男性(60)が死亡した問題を受け、片山安孝副知事が12日、辞職届を提出した。
これを受け、斎藤知事は同日夕方に開いた会見で、改めて辞職しない意向を示した。
片山氏から辞表を受け取ったのは同日午後。斎藤知事は「(片山氏の)辞職の判断は真摯に受け止めたいが、数回にわたり慰留していた」と明かした。
そして、「片山副知事には誠心誠意、お支えいただき感謝している。コロナ対策をはじめ、さまざまな対応に尽力された。これまで約3年間の斎藤県政を支えて下さった。その存在は大きい。これから県政の立て直しのために、大変険しい道であるが、県民の負託を受けた以上は、経済回復や子育て支援、物価対策といった課題に全力で取り組む」とした。
片山氏は辞職の意向を示した同日午前、斎藤知事に計5回にわたり、一緒に退職するつもりはないか確認したことを明かした。
その際、県議会議員や国会議員とのやり取りを含む斎藤知事のコミュケーション不足を指摘した。
片山氏は筆頭副知事として、担っていた部門は議会との調整、教育など多岐にわたる。斎藤知事は、「今後、(副知事は2人から服部洋平氏1人になり)県政の運営に大きな影響が出るが、さらに(県政を)前に進めなければならない」と話した。
後任の副知事の選定については明言を避けた。
斎藤知事は10日の定例会見で、「職員とのコミュニケーション不足により信頼関係を築くことができなかった。
特に就任からの2年は、コロナ禍でマスク越しでパーテーションに囲まれた中、物事を効率的に進めようとするあまり、相互理解が不十分だった」と自らの態度について反省の弁を述べ、「今後は1日1日の業務の中で、積極的な対話を通じて信頼関係を築き、県政を立て直していくしかない」と繰り返していた。