兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などを告発する文書を作成し、7日に死亡した元西播磨県民局長の男性(60)が、この疑惑に関連した斎藤知事の発言を記録したとされる音声データや、県議会の百条委員会で読み上げる予定の陳述書を残していたことが、関係者への取材でわかった。男性は19日に開かれる予定の百条委員会で証人尋問で発言する予定だった。
男性が準備した音声データや陳述書には、斎藤知事が2022年11月、出張先の県西部・上郡町で行われた会合で、地元産のワインについて「まだ飲んだことがない。折を見てお願いしたい」などと町長に求めるやり取りがあったとされる。
なおこの件は、告発文書の7項目には含まれていない。このやり取りについて斎藤知事は16日の定例会見で「詳細については把握しておらず、内容が判明しだい、会見や百条委員会などしかるべき場でお答えする」と話すにとどまった。
自民党・兵庫県連会長の末松信介参議院議員は14日、神戸市内の県連大会で斎藤知事に向けて、「大きな、(辞職を含めた)正しい決断をしていただきたい」と呼びかけた。2021年の前回知事選での85万票を獲得した斎藤氏を推薦した自民兵庫県連の影響は大きく、事実上の決別とも受け止められるが、斉藤知事は「前回選挙で多大な協力をいただいた末松議員の言葉を重く受け止めている。道は険しく、時間はかかるかも知れないが、職員との関係再構築に努めるし、責任を担うとご理解いただきたい」と話した。
さらに、斉藤知事は、「繰り返し申し上げるが、やはり負託を受けた立場で県政を進めていかなければならない。最大限の努力をしていく。政治家として、ひとつの信念を述べている」とした。そして、(県連側から)説明機会を求められれば、(百条委などの経過も踏まえつつ)しかるべき時期に応じる意向も示した。
斎藤知事の公務をめぐっては、16日夕方に予定されていた尼崎市内の子育て促進施設の視察に際し、外部から「(知事の)身に危害を加える」といった内容の電話もあり、安全上の観点から取りやめとなった。
このような電話は、ほかにも数件確認されており、兵庫県警とも適宜協議し、しかるべき対応を取るとしている。