神戸市は神戸国際大学附属高校(同市垂水区)との連携協定をこのほど締結、同校写真部の生徒が撮影した写真を市のウェブサイトなど広報媒体で使う取り組みを始めた。生徒は、市の行事・イベントのほか、施策の告知に使用する写真の撮影も行う。広報担当者は「若者が撮った写真は、同世代の心を動かしやすい。カメラマンを目指す高校生を育成する機会にもなる」と、ねらいを語る。市によると、同様の取り組みは「全国的に聞いたことがない」という。
神戸国際大学附属高校の写真部は1968年発足で、現在部員が30人。全国高校写真選手権大会「写真甲子園」で上位の成績を収めるなど、県下有数の写真名門校だ。
連携協定は市の広報担当者が写真部員作成のフォトブックを偶然目にしたことがきっかけ。そのレベルの高さに驚き、広報媒体の写真撮影に協力してもらうことを思いついたという。
写真部員には、神戸市が依頼した行事やイベントの撮影に加え、建物、人物、自然など多岐にわたる題材を撮ってもらう。9月から始まる市内高校への通学定期券無償化のポスター撮影も手掛ける。
1回あたり20枚程度の写真を市に納品してもらい、市が同校に1日(約4時間)1万2千円、半日(約2時間)で6000円の撮影料を支払う。撮影日数は月に2日程度を想定していて、支払われた撮影料は、写真部の活動費に充てられるとのこと。
これまで市のウェブサイトやSNS、広報誌などの写真は、副業カメラマン、委託事業者、市職員らが手掛けてきた。連携協定締結の会見で、多名部重則・神戸市広報官は「クライアント(神戸市)の『こういう写真を撮って』というオーダーを受けて撮影することは、写真家を志す高校生にとって、将来役立つスキルとなる。支払う撮影料を抑えることができるので、市の経費削減にもつながる」と話した。
会見には同校2年の写真部員、金山基柱さん(16)、玉山優歌さん(16)、新和裕介さん(17)も参加。「(撮影で)個性を出して、僕たちが見た神戸市をもっといろんなところへ届けたい」(金山さん)、「笑顔をたくさん引き出せるような写真を撮っていきたい」(玉山さん)、「撮り漏らしがないようにがんばりたい」(新和さん)と、それぞれ抱負を述べた。