兵庫県は、奈良県、東京都と並びくつ下の三大生産地のひとつで、兵庫県産のくつ下の多くが加古川市周辺で生産されている。その高い品質と職人の技を国内外へ発信しようと、兵庫県靴下工業組合は、このほど地域ブランド「Hyogo Quality」を立ち上げ、7日、新開発された商品の販売をスタートさせた。
兵庫県内では、江戸時代、姫路藩の奨励策によって「播州の三白(米・塩・木綿)」が特産品として有名になった。なかでも現在の加古川市地域の地理的要因が綿花栽培や加工に適していたこともあり、綿産業が発展した。1886(明治19)年に現在の志方町の住民が中国からくつ下編機を持ち帰り、製造を始めたことが、兵庫県でのくつ下の歴史の第1歩となった。
戦前には神戸から世界各国へ輸出され、また戦後、人々の生活様式が変化して行く中、1949(昭和24)年には日本一のくつ下生産地になった。ただ、高度経済成長期後、円高が急激に進んだことで輸出競争力が低下し、海外、特に中国や東南アジアなどからの安い輸入製品が入ってきた。兵庫県の繊維産業も打撃を受けたほか、職人の高齢化や後継ぎ不足による廃業などで事業者も減るなど、くつ下産業の市場環境は厳しい状況が続いている。
そこで、日本で最も古い歴史を持つ兵庫県靴下工業組合は、地域の事業者や自治体など官民一体となって、独自の品質規格である地域ブランド「Hyogo Quality」を立ち上げた。「編立てからの全工程を兵庫県内で行う」「くつ下ソムリエによる認証を受ける」などの条件をクリアすると、「Hyogo Quality」として認定される。
組合加盟社のうち、まずは10社が新商品の開発に取り組んだ。第1弾として紳士用靴下(一部ユニセックス)に注力し、「車の運転に適したドライバーのためのくつ下」や「踵滑り止め付き5本指ソックス」など、オリジナリティあふれる「Hyogo Quality」商品が誕生した。「営業などで歩き回る男性が気になるのはくつ下の強度とにおい、そして時間が経ってずれてくるのも気になる。その問題をすべて解消した。くつ下づくりの技術を詰め込んでいる」という商品も。
「Hyogo Quality」の第1弾商品はオンラインで購入可能。9月10日(火)18時(午後6時)まで、新商品を販売するプロジェクト「Makuake」で公開されている。また10月9日(水)~10月22日(火)は大阪・梅田の阪急百貨店うめだ本店にポップアップストアを開設予定。