先日行われた世界最大級のサブカルの祭典「コミックマーケット」(通称:コミケ)に大阪のある企業が出展し、SNSを中心に大きな話題となっています。
その企業とは、キャラクターデザインを手がける株式会社サンワード。同社が手がけるのは、小学校の裁縫箱に描かれているドラゴン。通称“家庭科のドラゴン”は、平成男子であれば思わず「懐かしい!」と声が出てしまうのではないでしょうか。
コミケ出展のきっかけや誕生秘話について、同社の営業担当・川中さんに詳しく話を聞きました。
――コミケに出展したきっかけは?
【川中さん】 もともと、今年は辰年ということもあり、“家庭科のドラゴン”を使ってなにか特別なことをしたいと思っていました。そんな折、当社の役員がエゴサーチをしている際に「家庭科のドラゴンはコミケに出たほうがいい」という投稿を偶然SNSで発見し、社内で盛り上がりました。
当初、社内では「コミケってなんだ?」という状態だったのですが、出展方法などを一から調べてなんとか応募したところ運よく当選し、出展することになりました。
――反響は?
【川中さん】 出展が決まった際、X(旧:Twitter)で「家庭科のドラゴンがコミケに出展します」という報告の投稿をしたところ、4万件もの“いいね”が集まりました。実際に出展してみても予想を大幅に上回る反響で、準備していた裁縫箱は1日で完売するほどでした。
当時小学生だった20~30代の男性がメインとは思っていましたが、もっと上の世代の方も多く来てくれました。なかには、「小学生のころに欲しかったけど言い出せなかった」という女性も購入してくださいました。想定していた以上に幅広い層の方に愛されているのだと知る機会にもなりました。
――そもそも、“家庭科のドラゴン”はどのような経緯で誕生した?
【川中さん】 弊社はもともと、ファンシーなキャラクターをメインに扱う会社でした。代表的なものだと、「リトルボブドッグ」というコーラシガレットなどのパッケージに使用されている犬のキャラクターがあります。
あるとき、学校用商材を扱うメーカーから「“ドラゴン”をテーマに男子用の裁縫箱の新たなデザインを作ってほしい」という依頼がありました。弊社としては、ファンシー路線以外のデザインは初挑戦。この依頼から2001年に誕生したのが、“家庭科のドラゴン”こと「ブラックドラゴン ルールレジェ」です。
――そんな正式名称があったんですね! キャラ設定などもあるのでしょうか?
【川中さん】 「ルールレジェ」はフランス語で「重い・軽い」という意味で、「重力を司る天空の帝国を守る神獣」という設定があります。じつは、このドラゴンシリーズにはボツになったものも含めると50以上のキャラクターがいるんです。シャチの「シャチザダイブ」、トカゲの「ソウルオブサラマンダー」など、とにかく小学生男子に刺さりそうなかっこいいキャラを次々と生み出して、エプロンや彫刻刀など、裁縫箱以外にもさまざまな学校用商材に展開していました。
じつは、これらのキャラは1つの世界に存在しているという設定。たとえば、「ブラックドラゴン」と「ソウルオブサラマンダー」はライバルという裏設定なんかもあります。