兵庫県立美術館の所蔵作品の中から、テーマを決めて学芸員がセレクトした作品を紹介する2024年度第2期のコレクション展が開催されている。「女性」を特集し、6つの視点から女性と美術の関わりを考える。また小企画「美術の中のかたちー手で見る造形」では姫路市出身の石彫作家・北川太郎の作品を展示する。2024年12月8日(日)まで。
兵庫県立美術館が所蔵する作品は約1000人の作家によるもの。このうち女性作家は1割という。コレクション展Ⅱでは、世代や制作背景の異なる約60人の女性作家の絵画や写真、立体作品などを、「生活」「私の身体」「風景」「素材」「歴史・物語」「反復と拡大」という6つの視点で紹介する。
花や子どもは日常生活の中で身近にあるモチーフだが、そこに作家の思いが込められている。明治期に活躍した数少ない女性作家として知られる神中糸子。『はるの像』は、姪・はるのがお茶を運ぶ姿とともに軍帽が描かれている。戦時下の女性や子どもの生活を感じられる作品という。
「反復と拡大」と題したコーナーでは、山崎つる子や田中敦子、三島喜美代、草間彌生などの抽象的作品を紹介する。どの作品からも内に秘めたエネルギーが伝わってくるようだ。
また、本多錦吉郎の『羽衣天女』も、今年3月に重要文化財に指定された後、同館で初めてのお披露目となる。関連資料も併せて展示されている。
一方、34回目となる同館のシリーズ展「美術の中のかたちー手で見る造形」は、姫路市出身の石彫作家・北川太郎の作品を紹介する。建築石材業を営む家庭に生まれた北川にとって石はあまりにも身近な存在だったが、あるきっかけがあって石に「目覚め」たという。以来、ノミと石頭を用い、石の中に眠る形を掘り出してきた。
石をひたすら積み上げた『時空ピラミッド』は、制作には数年かかっており、まさに「時間そのものが形になった」作品といえる。この他等身大から両手で抱えられるほどのサイズまで、バリエーション豊かな作品が並び、見るだけでなく「触れて」鑑賞できる。「作品によって手ざわりや感覚が違う。掘り出した痕やなめらかな部分など、じっくりと感じ取ってほしい」と同館の担当者は話す。