「来ぬ人を 松帆の浦の 夕凪に 焼くや藻塩の 身もこがれつつ」。百人一首に残されている藤原定家の歌だ。
いくら待っても来ることのない人を待っている恋焦がれる思いを、焼かれた藻塩に重ねている。この歌に出てくる松帆の浦は淡路島北端の海岸のことで、歌からはそこで藻塩が作られていたことが分かる。
一時は途絶えていたこの藻塩だが、古くから島に伝わる技術をヒントに、現代の衛生管理のもと淡路島で復活した。作っているのは淡路に本社を置く「株式会社多田フィロソフィ」。海水に海藻を浸し、そのエキスをたっぷりと抽出。ろ過した海水をじっくりと煮詰めることで、味わい深くまろやかな藻塩が完成する。
完成した商品は「淡路島の藻塩」として、神戸市須磨区にある産直市場・ナナファーム須磨にも並ぶ。スタッフの間では「リピーターの多い塩」とまことしやかに囁かれているのだとか。
同市場の担当者は「付け塩や振り塩として使うのがおすすめ。海藻由来なのでほのかな茶色を帯びており、角がなくまろやかな味わいで食材本来の味を最大限に引き出してくれます」と話す。
同市場の2階には海鮮レストラン「魚魚」の料理長も、この淡路島の藻塩にほれ込みレストランの各テーブルに置いているという。
※ラジオ関西『Clip月曜日』9月9日放送回より
■ナナ・ファーム須磨
兵庫県神戸市須磨区外浜町4-1-1
電話 078-733-7722
※店舗ごとに営業時間や定休日が異なるため、詳しくはナナ・ファーム須磨公式サイトを参照。