世の中がまだ戦後の混乱期にあった1949(昭和24)年に創業、今年75年を迎えた老舗工務店が兵庫県明石市にあります。高度経済成長、オイルショック、バブル景気、そして崩壊、いざなみ景気、リーマンショック後の現在まで、好不況の波にさらされながらも乗り越えてきた歩みを取材しました。
「25年後の創業100周年に向けて、大切に取り組んでいることがあります」と話すのは、株式会社池内工務店代表取締役の池内修さんです。
同社が大切に取り組んでいるもの……それは“建設業はサービス業”という信念の徹底です。世間から、厳しい、つらいなどというマイナスな印象を持たれがちな建設業界。そんなイメージを払拭し、人対人の“接客業”であることを再認識するのが大切だとして、従業員に対してマナー研修なども行っているといいます。
池内さんは「建物を建てるには、相当に費用もかかります。お客様に対して、こちらからワクワク・ドキドキする夢と感動を提供することが必要だと思っています」と話し、顧客との信頼関係を築くことが、完成後の満足度につながると語りました。
また同社では、世界中で進むSDGsの取り組みもさまざま行っています。その中の一つが、1994(平成6)年から30年以上続ける「献血活動」。毎年春と秋の年2回、明石駅前で日本赤十字社と共同で呼びかけています。
始めたきっかけについて池内さんは、「建築業界は、労働災害がほかの業種と比較して多いです。ケガや入院をした仲間が一日でも早く社会復帰できるようにとの思いでした」と説明しました。今では、自然災害や、交通事故などのあらゆる事故、病気・ケガなどで血液を必要する人たちの回復を願って進めているのだそう。
最後に池内さんは、創業100周年に向けて「同じ(建設業)の領域で差別化するのではなく、“建設業とサービス業を合体させた領域”に区別化していきたい」と展望を語りました。
※ラジオ関西『谷五郎の笑って暮らそう』」2024年9月27日放送回より
(取材・文=洲崎春花)