昨今、南海トラフ地震や水の事故、台風など、心配なニュースを多く耳にします。災害備蓄や避難のためのハザードマップなどを見直した人も多いかもしれませんが、いざというときの“人命救助”について考えたことはあるでしょうか。
突然、心肺停止状態となった人の命を救うカギとなる“心肺蘇生法”。運転免許を持っている人であれば自動車学校で習いますし、それ以外にも、1度は講習を受けた経験があるという人も多いかもしれません。
筆者も講習を受けた経験があるのですが、いざというときの人命救助としてとても大切な知識であると理解すると同時に、やはり簡単な作業ではないため難しさを感じる部分もありました。なかでも、心臓の動きを止めないためにリズム良く続けることが必要な“心臓マッサージ”は、なかなか大変です。
そんな心臓マッサージを、DJの音楽にのせて行うイベント「ハート・ビート・DJ」でDJを務めたのが、岸野雄一さんです。今年3月、隅田公園(東京都)で実施され、SNSを中心に話題となりました。
朝から公園で「心肺蘇生マッサージDJ
」をやっています。BPM 112の曲だけをプレイ❣️災害の多い昨今、身近な人を助ける手立てとして、心肺蘇生マッサージのやり方を、音楽と一緒に覚えておきましょう。 pic.twitter.com/pwXKjTdEdL— 岸野雄一 (@KishinoYUICHI) March 2, 2024
非常に画期的だと感じたこの取り組み、一体どのようにして生まれたのでしょうか?
同イベントでDJを務めた岸野さんは、京都精華大学の講師としての活動のほか、音楽や映画に精通していることからさまざまな活動を行っています。最近は特に、「人と人とのつながりを大切にしたい」という思いから、公共の場である公園でのイベント企画を精力的に行っているそうです。
防災士の知人から「心臓マッサージのリズムで曲の演奏を行うことはできないか」との相談を受けた際に、“DJ”というスタイルを思いついた岸野さん。こうして、2023年から「ハート・ビート・DJ」がはじまり、今年の春に2度目の開催を迎えました。