「アンティーク」と「ヴィンテージ」 何が違う? 言葉の定義や使い分け、店やバイヤーはどうしてる? | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「アンティーク」と「ヴィンテージ」 何が違う? 言葉の定義や使い分け、店やバイヤーはどうしてる?

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 ここ数年、古着やリサイクル家具がブームという印象を受けている筆者。そういったものを取り扱うショップの新規開店や「古着のTシャツが数十万円」などといった話題もよく聞きます。そんな中、筆者が常々疑問に思うことがあります。それは古物に対して使われる「アンティーク」と「ヴィンテージ」というワード。どちらも“古いもの”を指しているという認識はあるのですが、何か違いはあるのでしょうか。アンティークショップHandle(福井県福井市)の経営者かつバイヤーの水野友紀子さんに話を聞きました。

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 ヴィンテージ(vintage)の意味について「元々はワイン用語である」と水野さん。「vinはワイン、ageは年齢という意味で、ブドウの収穫年を表すものです。ワインの完成度はブドウの品質に左右されるので、特に上質な葡萄が収穫できた、いわゆる“当たり年”がしっかり明記されたワインだけがヴィンテージと呼ばれるようになりました」と説明。そこから、ワイン以外にギターやジーンズ・家具など、年月が経っていて高品質のものは「ヴィンテージ」と呼ばれるようになっていったと言います。

「ヴィンテージ」の意外な語源

 アンティーク(Antique)はフランス語で古美術や骨董品のことで、ラテン語で古いものを意味する「Antiquus(アンティクウス)」が語源なのだそう。アンティークの定義として、アメリカの関税に関する法律では「製作されてから100年経ったもの」と決められているのだとか。しかし水野さんによると、実際にアンティークが生活に根付いているヨーロッパではアンティークの定義に年月は関係は無いとのこと。「ヨーロッパでは大量生産でないことやデザインの歴史が継承されていることの方が重要視されており、経た時間自体はあまり重視されません。造られてから100年経っていないものでもアンティークと呼ばれることもよくあります」(水野さん)

フランスのアンティーク家具(イメージ)

 では、ヴィンテージに定義はあるのでしょうか。「アンティークが100年以上と定義されたことにより、100年以下のものはガラクタを意味するジャンクやゴミを意味するラビッシュになってしまうため、100年経っていなくても価値が高いものを区別してヴィンテージと呼ぶようになりました」と水野さん。一般的にヴィンテージとは20〜30年以上前に作られた高品質で価値のあるものを指しますが、製造後100年以下ということ以外は明確な定義はないとのことです。

ヴィンテージソファ(イメージ)

 実は定義が明確ではないアンティークとヴィンテージ。ショップやバイヤーはこのふたつの言葉をどう使い分けているのでしょうか。

「明確な決まりはないため、扱う人によって考え方は違います。例えば家具であれば、一般的にアンティークは『高級木材を使った見た目が華やかな家具』、ヴィンテージは『1950〜70年代に造られた北欧スタイルのシンプルなデザイン家具』と呼んでいます」(水野さん)

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「使われている素材が良いので、耐久性も高く何度も修復でき、かつ何世代でも引き継いでいけるのがアンティークやヴィンテージ家具の魅力」と水野さんは語ります。アンティークやヴィンテージの良さは希少性や年代的価値だけでははかれないようです。

(取材・文=宮田智也)

アンティークやヴィンテージの定義は扱う人によって変わる
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