兵庫県知事選挙に出馬する前尼崎市長・稲村和美氏(51)が政策を発表した。
「対話と信頼なくして、改革を実現」をキーワードに、県と市町の連携強化と、多様な県民の声が届く、風通しの良い県政を目指す。
稲村氏は3期12年にわたる尼崎市長の経験を生かし、6つの柱からなる30項目の政策を打ち出した。
その前段に、兵庫県の元県民局長(2024年7月死亡)による、斎藤元彦前知事のパワーハラスメントなど7項目の告発文書問題について、県の一連の対応がどうだったのか、検証して混乱に終止符を打ちたいとした。
再発防止策として、知事などの特別職、議員を対象にしたパワハラ防止条例の制定や、「公益通報者保護法の理念が、本当に今の社会で機能しているのか」という点まで踏み込み、こうした事態を招いた兵庫県が今後、法改正の先頭に立つように取り組む姿勢を示した。
具体的項目として、県内41市町の状況に応じた子育て支援について、「こども・若者が幸せになる兵庫県政」を最初に挙げた。県が使い道を一律に決めるのではなく、県と市町が連携して使い道を決め、財政力に応じた再分配機能のある交付金の創設を目指す。
2番目に「時代の変化を乗り越える地域経済の実現」。中小企業や地場産業などへの人材確保、Uターンを含む若者の県内就職・定着に向けた支援、市町と連携した企業誘致やスタートアップ(創業)の支援、兵庫の五国(※)が持つ文化や資源を活用した観光ナイズの進化を目指す。
3番目の「さまざまなニーズに対応する医療福祉の充実」では、児童相談所の機能強化とDV被害者への支援、医師の地域偏在などの解消を打ち出した。
次に、阪神・淡路大震災から30年を前に、被災県としての「経験を踏まえた防災・減災対策の強化」。
稲村氏自身が当時、大学生として震災ボランティアに携わったこともあり、国の防災庁設置に向けた議論をリードし、被災者の生活再建ノウハウの伝承をはじめ、地震・風水害・感染症などとの「複合災害」への対策や、広域避難など災害への対応力の強化を図る。
そして、建設費用を抑えつつ防災拠点機能を有する県庁舎の整備(斎藤・前知事時代に経費面を考慮し、いったん凍結)にも取り組む。