超有名な日本昔ばなしといえば、「桃太郎」。有名なだけに、物語に登場するおもな人物と聞かれれば、おじいさんとおばあさん、犬、猿、キジ、鬼ヶ島の鬼、そして桃太郎、と答えられる人がほとんどだと思います。
ところが、とある人物から「桃太郎には妹がおったらしいんやけど……」という話を聞きまして。
「え〜っ、妹!? 桃太郎に!?」と、完全に初耳。これは調べてみないと、と思ったわけです。
桃太郎の言い伝えがある岡山の知り合いに聞いてみたところ、「うん、妹がおったらしいよ。おばあちゃんから聞いた」と、あっさり返答。
その知り合いは続けて、「岡山のお土産の“きびだんご”の中に入っていたリーフレットにも『桃太郎の妹が……』みたいなことが書いてあったよ」と言うんです。
この噂の出どころに迫ろうと思い、桃太郎に関する本をいくつも読みあさってみると、「これが出どころちゃうか?」と感じる1冊の本にたどり着きました。
その本とは、1914(大正3)年に出版された、相馬泰三さんの作品。その名も、『桃太郎の妹』です。
【ストーリー】
むかしむかし、川上から大きな桃が2つ流れてきました。おばあさんは大きいほうの桃を持ち帰り、その桃から桃太郎が生まれました。一方の桃は海まで流れていき、行方はどこへ……。