サッカー・J1のヴィッセル神戸は、23日に東京・国立競技場で行われた天皇杯 JFA 第104回全日本サッカー選手権大会の決勝で、ガンバ大阪に1-0と勝利し、5大会ぶり2度目の優勝を果たしました。その一戦では、ヴィッセル育成組織出身の2選手がファイナルのピッチに立ち、攻守に貢献しました。
前回、第99回大会で優勝を決めたときには、筑波大学の4年生で、U-18までを過ごしたヴィッセルへの帰還が決まっていたという状況だった、DF山川哲史選手。大学での経験を経て2020年からトップチーム入りしたセンターバックは、年々成長を遂げ、いまやチームの守備に不可欠な存在。尊敬する北本久仁衛コーチが現役時代に背負っていた4番を今シーズンから受け継ぐ27歳は、この決勝戦でも力強いディフェンスでクリーンシート達成に大きく貢献。また、MF山口蛍選手が途中出場するまではゲームキャプテンもつとめるなど、チームをまとめる役割もこなしました。
一方、第99回大会のときには、ブラジル修行から夏に戻るも、カップ戦も出番に恵まれず、スーツ姿でクラブの初タイトル獲得の瞬間を迎えていたのが、MF佐々木大樹選手。彼もそこから徐々に飛躍を遂げていった選手です。昨シーズンにJ1で33試合7得点と結果で存在感を示すと、今シーズンは天皇杯で準決勝まで4試合連続ゴールを記録するなど公式戦44試合11得点をマーク。山川選手と同じく、チームへの貢献度が高い背番号22は、決勝で59分から途中出場すると、その5分後にはポストプレーで先制点の起点に。5戦連発弾とはならなかったものの、前線で貴重なターゲットマンとなり、チームに勝利を呼び込みました。
昨シーズンのJ1初制覇のときと同じく、主軸としてタイトル獲得に関わった2選手。試合後には、次のようにコメントしています。
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●山川哲史選手
(天皇杯は)みんなでつないできた大会。きょう(試合当日)、それこそ、そこまで試合に出ていて、メンバーに入れず、悔しい思いをした選手たちがいたのも理解していました。とにかく自分たちは、試合に出る以上、全力で戦って、絶対に負けられないと思って、試合に入りました。それで結果が出たので、一安心というか、自分たちのやるべきことはできたかなと思います。
――関西対決となった決勝の雰囲気について。
どちらのサポーターも関西から多く足を運んでくれてスタジアムを埋めてくれて、すごい素晴らしい雰囲気になったと思います。神戸としては今年1分け1敗だったので、そこは負けられなかったので、強い気持ちを持って臨みました。
――大事な試合でキャプテンマークを巻いた重みについて。
特に決勝とか関係なく、目の前の試合にいかに勝てるか、どうやって勝てるかを意識してやっています。そこは(キャプテンマークを)巻いているか巻いていないかは特に自分のなかでは変わらないです。もちろん、(山口選手がピッチにいないときは)僕か(酒井)高徳さんかが試合に出ていて、本来なら高徳さんが巻くべきところを、僕に任されているというのは、アカデミー出身の選手であり、今後ヴィッセルを引っ張っていく存在にならないといけないという思いからかなと思うので。(ゲーム)キャプテンだからといって全然完成されているわけではないですが、もっともっと成長していかないといけないと、常に思っています。
●佐々木大樹選手
(天皇杯制覇は)素直にうれしい。(ゴールはなくても)チームの勝利だけを求めていたので、率直にうれしいです。(監督からは)試合を決めてこいと言われて出場しました。
――得点のきっかけとなったポストプレーについて。
あれはチームとしてのやりたいことの1つなので、うまくいったなと感じました。(大迫勇也選手とどちらが落下点に入るかを決めていた?)基本的には途中から入ることが僕は多いので、ああいったシーンでいえば、僕がする方が多くなるのかなと思いますが、状況によってボールの場所などで、サコくん(大迫)と目を合わせながら(対応する)という感じです。
――試合後の会見で監督が「今日も素晴らしい活躍だった」「成長した」とほめていたが。
1年目からずっと僕を使い続けてくれているので、そこに関しては感謝しかない。プレー面もそうだし、(記者も)仰る通りに、ちょっと精神的にも成長したのかなという感じですかね。