ドリアンにくさや、パクチーにシュールストレミングなど世界には味や匂いが強烈な食べ物が数々存在します。フィンランドの「サルミアッキ」もそのひとつ。しかしながら、かなりのクセを持つ一方で熱心なファンも少なくないとか。サルミアッキについて、東京・新小岩でフィンランド雑貨や菓子を販売する「Mikon Finland Shop(ミコンフィンランドショップ)」の宮脇さんに詳しく教えてもらいました。
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サルミアッキとはフィンランド生まれの菓子。真っ黒なルックスに、“超”を付けてもいいほどの個性的な味わいが特徴です。「スペインカンゾウ」と呼ばれる甘草で味付けされており、同国をはじめとした北欧の国々では伝統菓子として愛されています。ですが、慣れていない人からすると衝撃的な風味のようで「タイヤ」や「ゴム」など“食べ物とは思えない”という感想が聞かれます。実際に食べたことがある宮脇さんに味について聞いてみると、「個人的にはうがい薬を煮詰めて塩を加え、甘みを少し付けた感じ」とのこと。
「フィンランドでは大人も子どももサルミアッキが大好きです。サルミアッキを食べている人の隣にいると『あなたも好きなんでしょ? 食べたいんでしょ?』とばかりに差し出されることも。苦手な人は注意が必要です」(宮脇さん)
基本的にはそのまま食べることが多いサルミアッキですが、通な人はケーキやパフェなどのスイーツに加工することも。その黒さゆえに、ハロウィーンなど毒々しい雰囲気を演出したいイベント時には製菓材料として大活躍するそうです。また、フィンランドではサルミアッキ関係の商品も数多くリリースされており、一番ベーシックなのはグミタイプといいます。ほかにアイスやお酒・ガム・チョコレート・シロップなども人気だそう。
とはいえ、ベースはサルミアッキ。「アイスやチョコレートなんて!」と思った筆者ですが、意外にもスイーツに加工した方が食べやすくなるのだそう。「サルミアッキが食べづらいのは、その“しょっぱさ”だと思うんです。塩味が強いほど食べにくいですが、甘さが加わるとなぜか食べられる。たとえば、日本の梅干しも甘味がついていると食べやすいですよね。それと似ています」と宮脇さんは解説。
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さて、「アドベントカレンダー」なるものをご存知でしょうか? これは、12月1日からクリスマス・イブまで毎日1つずつ開けて「お楽しみアイテム」をゲットする“子ども用カレンダー”のようなもの。フィンランドのクリスマスシーズンにはこのアドベントカレンダーにサルミアッキ版が登場。さすがサルミアッキを熱愛するだけあるな……と、妙に納得した筆者でした。
(取材・文=つちだ四郎)