阪神・淡路大震災から今年1月17日で30年を迎えた。震災の年に神戸の地で誕生したパン店が、地元で愛される存在として今も息づいている。
兵庫県神戸市垂水区に店を構える「パンドクレム」。店長の矢嶋浩司郎さんによると、店舗の契約などは震災前年に済んでおり、1階に店舗が入る予定の新築マンションの完成を待っていたときに震災が起こったという。
この震災で神戸市内は甚大な被害を受け、垂水区内でも多くの人や建物が被災したが、マンションは工事に遅れが生じるも竣工。矢嶋さんは店を開業することができた。
店をオープンさせる前には、7年ほど様々な店で学んだそう。そして、ある店で手作りのクリームパンを食べて感動したことをきっかけに自分も店を出そうと決意した。店名の「パンドクレム」はフランス語でクリームパンを意味する「パンドクレーム」を少し短くしたもので、実際に同店ではクリームパンが一番の人気商品となった。
地元に根差すこの店には、他にも愛され続けるパンがある。たとえば紅茶パン。発売当初は全く売れずいつ販売をやめようかと迷っていたのが、口コミでだんだん火がついて定番商品に。近年注目度が高まるフルーツサンドもこのパンで作っている。紅茶パンを使ったイチゴのサンドウィッチは、なかなか他にはない商品として多くの人に喜ばれているという。